メロウなジャズをサンプリングした90年代NYヒップホップ・クラシックスとその元ネタ15曲+15曲。BITTER SWEET & MELLOW : We’ve got Jazz【プレイリスト】

メロウなジャズをサンプリングした90年代NYヒップホップ・クラシックスとその元ネタ15曲+15曲。BITTER SWEET & MELLOW : We’ve got Jazz【プレイリスト】

2019年12月14日
Music

ヒップホップとジャズ。

その蜜月関係は、ヒップホップ黄金期と言われる90年代初頭から中頃にかけて育まれたのだと思う。

ヒップホップ発祥の地であるニューヨークのプロデューサー達が、誰もまだ耳にしたことのないようなサンプリングネタを追い求め、ソウルやファンク、ディスコに飽き足らずジャズのレコードを掘り出すようになる。

そうして掘り起こされサンプリングされたレコードは、音の錬金術師(プロデューサー)によって新たな命が注入されイルなビートへと生まれ変わった。

We’ve got Jazz…

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メロウなジャズをサンプリングした90年代NYヒップホップ・クラシックスとその元ネタ15曲+15曲

タイムレスで、心地よいメロウな曲」を選曲しお届けしているプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW」。

今回は、90年代初頭から中期のNY(ニューヨーク)ヒップホップのクラシックスをセレクトしようかと当初考えていました。

そのきっかけとなったのは90年代ヒップホップを代表するグループ、ギャング・スターの16年振りとなるアルバム『ONE OF THE BEST YET』。

このアルバムがあまりにも素晴らしくて、久しぶりにギャング・スターの過去のアルバムも聴き返してたら完全に90’sヒップホップモードになってしまったというわけでして。

黄金期と呼ばれるだけに、90年代初頭から中期にかけてリリースされたヒップホップには名曲がかなりあって、いつものように15曲のプレイリストじゃ収まりきらない、、、ならばテーマを絞り込んでみようと。

そこで思いついたのが、メロウなジャズをサンプリングしたニューヨーク産ヒップホップ・クラシックスと、その元ネタとなっているジャズの曲を選曲したプレイリストを作ること。

90年代にNYヒップホップを聴いたおかげで、それまで耳にしたことのなかったジャズの素晴らしい曲を知ることができたというのは紛れも無い事実。

それだけニューヨークのヒップホップ・プロデューサー達のネタ選びのセンスが優れていた証でもあると思うんですよね。

ということで、できたのが『BITTER SWEET & MELLOW : We’ve got Jazz』。

曲解説

では、曲ごとに簡単な解説を。

1. Lord Finesse / Hip 2 Da Game

Funkymanことロード・フィネスのサードアルバム『The Awakening』に収録されている1曲。

2. Oscar Peterson Trio / Dream Of You

ロード・フィネスの「Hip 2 Da Game」にサンプリングされているのが、オスカー・ピーターソン・トリオの「Dream Of You」。ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンがめちゃくちゃ気持ちいい1曲。

3. O.C. / Word…Life

ロード・フィネスも在籍しているイーストコーストを代表するヒップホップ・クルー、D.I.T.C.(=Diggin’ In The Crates) のメンバーとしても知られる名MC、O.C.のデビューアルバムと同タイトルのシングル。

4. Nancy Wilson & Cannonball Adderley / Never will I Marry

O.C.の「Word…Life」で使用されているのが、女性ジャズヴォーカリスト、ナンシー・ウィルソンとサックス奏者、キャノンボール・アダレイの共演盤に収録されている「Never will I Marry」という曲。

5. Large Professor / I Juswannachill

伝説的ヒップホップ・グループ、メイン・ソースの一員としてデビューし、その後ソロ・アーティストとなったラージ・プロフェッサー

1996年にリリースされる予定だったのにもかかわらず、当時発売中止されてしまった幻のアルバム『THE LP』(その後2009年に発売)の先行シングルだった1曲。

6. Milt Jackson with The Ray Brown Big Band / Enchanted Lady

I Juswannachill」にサンプリングされているのが、ヴィブラフォン奏者ミルト・ジャクソンレイ・ブラウン・ビッグバンドを従えて録音したアルバム『Menphis Jackson』に収録されいて、ネタモノ・ジャズ・クラシックとして知られる「Enchanted Lady」。

7. The Beatnuts / Get Funky

クイーンズ出身のヒップホップ・グループ、ビートナッツもサンプリング・ネタ選びのセンスがずば抜けたアーティスト。

8. Roy Ayers / Painted Desert

Get Funky」でサンプリングされているのが、サンプリングの宝庫とも言えるアーティスト、ロイ・エアーズの71年作に収録されている「Painted Desert」。

9. Show & AG / Next Level

ロード・フィネスとともにD.I.T.C.(=Diggin’ In The Crates) クルーの中心的存在、ショウ&AGの1995年にリリースされたセカンドアルバム『Goodfellas』からシングルカットされた曲。

10. Wes Montgomery / Angel

Next Level」のサンプリング・ネタは、ジャズ・ギタリスト、ウェス・モンゴメリーが1967年にリリースしたアルバム『A Day In The Life』に収録されている「Angel」。

11. Gang Starr / Code Of The Streets

ギャング・スターのメンバーで、NYヒップホップ・シーンを代表するプロデューサーでもあるDJプレミアの手がけるトラックにはジャズのサンプリングを巧みに使用した秀逸な作品が多い。1994年にリリースされた4枚目のアルバム『Hard To Earn』に収録されている「Code Of The Streets」もそんな1曲。

12. Monk Higgins / Little Green Apples

サックス奏者、モンク・ヒギンズの1968年にリリースされたソウル・ジャズの名盤『Extra Soul Perception』に収録されているカントリーの名曲カヴァー「Little Green Apples」が「Code Of The Streets」のサンプリング・ネタ。

13. Nas / The World Is Yours

1994年にリリースされたナズのファーストアルバム『illmatic』は、90年代のヒップホップを代表する一枚と言っても過言ではない最重要作品。ラージ・プロフェッサー、DJプレミア、ピート・ロック、Qティップらがクリエイトしたトラックは捨て曲一切なしというクオリティーの高さ。

14. Ahmad Jamal Trio / I Love Music

そんなナズのアルバムに収録されている、ピート・ロックがプロデュースした「The World Is Yours」にネタとして使われているのがジャズ・ピアニスト、アーマッド・ジャマルの『The Awakening』収録の「I Love Music」。

スピリチュアルなピアノ曲で、サンプリングしたパートが登場するのは、曲が始まって5分くらいのところ。いいビートを作るためには妥協はしないというプロデューサー魂を感じさせる1曲。

15. Pete Rock & C.L. Smooth / I Get Physical

ピート・ロックも東海岸〜NYヒップホップを代表するプロデューサーの一人。

ファーストアルバム『Mecca and the Soul Brother』も素晴らしいけど、ここではセカンドアルバム『Main Ingredient』からの曲「I Get Physical」をチョイス。

16. George Benson / Face It Boy, It’s Over

1968年リリースのジャズ・ギタリスト、ジョージ・ベンソンのソウル・ジャズ名盤『Shape Of Things To Come』収録の「Face It Boy, It’s Over」。

ピート・ロック以外にもいろいろなプロデューサーがサンプリングしてるけど、それだけいい曲だという証。

17. Smif-N-Wessun / Buck Town

ブラック・ムーンらとともにブート・キャンプ・クリックの一員として人気を博したブルックリン出身のヒップホップ・グループ、スミフン・ウェッスン

彼らの代表曲と言えるスモーキーな「Buck Town」は、NYアンダーグラウンド・ヒップホップを代表する1曲。

18. Jack Bruce / Born To Be Blue

エリック・クラプトンも在籍していた伝説的なロック・グループ、クリームでの活動でロックミュージシャンと思われがちなベーシスト、ジャック・ブルースだけど、ソロとしては傾倒していたジャズ的要素の強い作品も出してる。

それが「Buck Town」のサンプリング・ネタ「Born To Be Blue」も収録されている『Things We Like』というアルバム。ちなみにこのアルバムはサンプリングの宝庫でもあり収録曲がさまざまなプロデューサーにサンプリング・ネタとして使われてる。

19. Jeru The Damaja / Come Clean

長らく音楽を聴いてきた中で、衝撃を受けたトラック(インストゥルメンタル)というのがいくつかあるけど、その中のひとつがこのブルックリン出身のラッパー、ジェル・ザ・ダマジャのデビュー作『Sun Rises in the East』に収録されてるDJプレミアがプロデュースした「Come Clean」。

雨音のようなサンプリング・ネタに、ロウ(Raw)なドラムが組み合わさっただけのミニマルなビート。

20. Shelly Manne / Infinity

1950〜60年代の西海岸ジャズ・シーンを代表ドラマー、シェリー・マンが1972年にリリースしたスピリチュアル・ジャズ・ファンク作『Mannekind』に収録されている僅か40秒ほどの曲「Infinity」。これが「Come Clean」のサンプリング・ネタ。

21. A Tribe Called Quest / Jazz (We’ve Got)

ナズの金字塔的アルバム『illmatic』でのプロデュース・ワークでも分かる通り、ア・トライブ・コールド・クエストの中でも、Qティップはジャズに傾倒していたプロデューサーなのだと思う。

1991年にリリースされたア・トライブ・コールド・クエストのセカンド・アルバム『The Low End Theory』の収録されている「Jazz (We’ve Got)」は、そんな彼のヴァイブを表現した1曲なのかも。

22. Jimmy McGriff, Lucky Thompson, George Freeman, O’Donel Levy / Green Dolphin Street

ア・トライブ・コールド・クエストの「Jazz (We’ve Got)」にサンプリングされてるのが、通好みなジャズ/ジャズ・ファンクレーベル、Groove Merchantからリリースされてるジミー・マクグリフ、ラッキー・トンプソン、ジョージ・フリーマン、オドネル・リーヴァイにより刑務所慰問コンサートの模様を録音したライブ盤に収録されているモダン・ジャズのカヴァー「Green Dolphin Street」。

23. Camp Lo / Sparkle

90年代中〜後半、ギャングの抗争が絡んできたりしてヒップホップも重たい雰囲気のトラックがもてはやされたり、サンプリングも短く刻んで元曲がわからないようにチョップされるのが主流になってきた時代に彗星のごとく現れたのがキャンプ・ロー

とにかく分かりやすいのが、彼らの魅力。マーヴィン・ゲイの傑作アルバム『I Want You』をサンプリングしたジャケット・デザインに始まり、サンプリングのネタにも大ネタを長めにループしてて、当時逆にそれが新鮮に感じられたりしたのも事実。

24. Cal Tjader / Leyte

ヴィブラフォン奏者、カル・ジェダーが`1965年にリリースしたアルバム『Soul Sauce』に収録されてラテン・ジャズ「Leyte」。これがキャンプ・ローSparkle」の元ネタ。

25. Brand Nubian / Love Me Or Leave Me Alone

ニューロシェル出身のグループ、ブランド・ヌビアンの1993年にリリースされたセカンドアルバム『In God We Trust』に収録されているメロウ・チューン「Love Me Or Leave Me Alone」。

26. Bobbi Humphley / San Francisco Lights

Love Me Or Leave Me Alone」 にサンプリングされているのが、女性ジャズ・フルート奏者、ボビー・ハンフリーの1974年にリリースされたアルバム『Satin Doll』に収録されている「San Francisco Lights」。

27. AZ / Rather Unique

ナズのアルバム『illmatic』に収録されている 「Life’s A Bitch」でフィーチャリングされた後、鳴り物入り でソロ・デビューしたラッパー、AZのデビューシングルのカップリングに収録されている「Rather Unique」。

28. Les McCann / Anticipation

ジャズ・ピアニスト、レス・マッキャンのジャズ・ファンク/ジャズ・ロック期の傑作として知られるアルバム『Layers』に収録されている「Anticipation」が「Rather Unique」の元ネタ。

29. Krs-One / MC.s Acts Like They Don’t Know

DJプレミアのプロデュース・ワークが光るヒップホップ界の重鎮、KRSワンの1995年リリースのシングル。イントロでのカーティス・ブロウのオールドスクール・クラシックス「The Breaks」の名フレーズも引用したオマージュ感溢れる1曲。

29. Clifford Brown with Strings / Yesterdays

MC.s Acts Like They Don’t Know」に使用されているのが、ジャズ・トランペットの巨匠、クリフォード・ブラウンがストリングスを従えて録音したバラードアルバムの1曲目に収録されている「Yesterdays」。

BITTER SWEET & MELLOW : We’ve got Jazz

ということで今回は、メロウなジャズをサンプリングしたニューヨーク産ヒップホップ・クラシックス15曲と、その元ネタとなっているジャズの名曲15曲を交互に並べてセレクトした30曲のプレイリストを作ってみました。

またいつものように、Apple Musicに加入していない方々のためにYoutubeミックスリストを作ったので、そちらもよかったらチェックしてみてください。