90年代、ヒップホップがミュージックシーンを席巻した時代。
それに呼応するように、ヒップホップが編み出したサンプリングという手法を取り入れることによって、新たな価値観が生み出された歌ものとしてのソウル/R&Bミュージック。
特に90年代中頃から21世紀を迎える直前の2000年までにリリースされたソウル/R&Bには、70年代ニューソウルをサンプリングしたり、生演奏でいつまでも廃れることのない古き良きソウルやジャズのフレイヴァーを自らのものとして新たにクリエイトした、今ではR&Bクラシックスと呼ばれる作品が数多く存在する。
Contents
- 90年代後半を彩ったスムースでメロウなR&Bクラシックス15曲
- 曲解説
- 1. Dionne Farris / Hopeless
- 2. Amel Larrieux / Get Up
- 3. Sweetback / You Will Rise
- 4. Maxwell / Ascension (Don’t Ever Wonder)
- 5. Mary J Blige / All That I Can Say
- 6. Rahsaan Patterson / Where You Are
- 7. Eric Benet / Georgy Porgy (feat. Faith Evans)
- 8. Society Of Soul / Wind
- 9. Jill Scott / A Long Walk
- 10. Angie Stone / Everyday
- 11. Lauryn Hill / Ex-Factor
- 12. Gabrielle / Give Me A Little More Time
- 13. Musiq Soulchild / Girl Next Door
- 14. D’angelo / Untitled (How Does It Feel)
- 15. Erykah Badu / Tyrone (Extended Version)
- BITTER SWEET & MELLOW : Smooth R&B Classics (1996-2000)
90年代後半を彩ったスムースでメロウなR&Bクラシックス15曲
「タイムレスで、心地よいメロウな曲」を選曲して、マンスリーでお届けしているプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW」。
今月は、1996年から2000年までにリリースされたR&Bの中からメロウな15曲をセレクトしてみました。
スムースでメロウなR&Bクラシックスのプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW : Smooth R&B Classics (1996-2000)」。
曲解説
では、簡単に曲ごとに解説を。
1. Dionne Farris / Hopeless
ニュージャージー出身のシンガーソングライター/プロデューサーで女優であるディオンヌ・ファリス。
【今日の一枚】90年代、ブラックムービーのサントラがかなりリリースされたけど、その中でもアフロアメリカンの日常を描いたラブストーリー『ラブ・ジョーンズ』のサントラは秀逸。ローリン・ヒルの初ソロ作やディオンヌ・ファリスの曲は何度聴いたことか。いいアルバム。https://t.co/6hBDyYOtxH
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月5日
エレピを主体としたゆったりとしたグルーヴがあまりにも心地よすぎる1曲。
2. Amel Larrieux / Get Up
R&Bクラシックス「Tell Me」の大ヒットで知られるグルーヴ・セオリーのメンバーとして世に出たニューヨーク出身のシンガー、アメル・ラリュー。
【今日の一枚】アメル・ラリューのソロ第1作。グルーヴ・セオリーの頃とは明らかに違う一言で形容するのが難しいさまざまなジャンルがミックスされたサウンドは元々こういうことをやりたかったんだろうな、とそれが音から伝わってくる自信に満ち溢れた作品。https://t.co/xGwILKC5GG
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月7日
しっとりとしたジャジーなビートに、アメル・ラリューのヴォーカル・ワークが冴え渡る1曲。
3. Sweetback / You Will Rise
今聴くとバレアリックな名盤と言えるのがスウィートバックのこのアルバム。
【今日の一枚】シャーデー・アデューを除くSADEのメンバーからなるスウィートバックのファースト。メンバーのステュアート・マシューマンは同時期マックスウェルのアルバムもプロデュースしてたから音の方は想像つくはず。一言で言えば、90年代版極上クワイエットストーム。https://t.co/fGRjfhTTdp
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月10日
ジャジーでメロウなトラックにフィーチャーされているのは、アメル・ラリュー。
4. Maxwell / Ascension (Don’t Ever Wonder)
「男性版シャーデー」なんて形容もされてたアーティスティックな男性シンガー、マックスウェル。
【今日の一枚】90年代中頃、R&Bは新たな次元に突入した。70年代ニューソウルの影響を感じさせつつ、ヒップホップ世代らしい斬新なサウンドが次々に生まれた時代。ネオソウルなんて呼び方もされてるけど、マックスウェルのこのファーストはいまだ新鮮に魅力に満ち溢れてる。https://t.co/BV7zf8hQDS
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月3日
マックスウェルのデビュー盤であるこのアルバムには、シャーデーのメンバーでスウィートバックの中心的存在のステュアート・マシューマンもプロデュースで3曲参加。
5. Mary J Blige / All That I Can Say
まさにクイーンという称号がもっとも似合う女性R&Bシンガー、メアリー・J・ブライジ。
【今日の一枚】ヒップホップ・ソウルの女王に君臨していたメアリー・J・ブライジがアーティストとして更なるレヴェルに向かい始めたのが、このアルバムだと思う。敢えて頰に傷がある側の横顔ポートレイトを使ったジャケットにその意思をすごく感じる。もちろん音にも。https://t.co/zjkUHsvd8v
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月9日
このトラックのプロデュースを手がけているのは、ローリン・ヒル。それまでのメアリー・J・ブライジ作品にはあまりなかったアコースティックで爽やかなフレイヴァーがうまく引き出されたロマンチックな1曲。
6. Rahsaan Patterson / Where You Are
ソングライターとしても多くのアーティストに曲を提供している男性シンガー、ラサーン・パターソン。
【今日の一枚】NY生まれのシンガー、ラサーン・パターソンの97年にリリースされたアルバム。スティーヴィー・ワンダーにも通じる美しいメロディとR&Bに固執しないアーバンなクロスオーバー・サウンドが見事に融合した一枚。久しぶりに聴いたら週末に合う気持ちいい音してる。https://t.co/MtydV5foGI
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月11日
本当、この人の曲はメロディーの美しいものが多い。中でもこの「Where You Are」は、往年のソウルマナーも感じさせるポップでキャッチーな作品。
7. Eric Benet / Georgy Porgy (feat. Faith Evans)
ディアンジェロ、マックスウェルらと共にニュー・クラシック・ソウル(ネオソウル)・ムーヴメントを牽引する存在として脚光を浴びた男性シンガー、エリック・ベネイ。
【今日の一枚】エリック・ベネイの音楽というのは、いい意味で普通にソウルミュージックなのだと思う。デビュー当時、席巻していたネオソウル・ムーブメントの中でも心温まる歌声が何より魅力的だったし、円熟味が増した今でも力まずに聴ける貴重なシンガー。https://t.co/aScjqMB2O3
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月19日
この人の魅力は、時代の先端を行くというよりも包み込んでくれるような、ふくよかな丸みのあるサウンドとその甘い歌声。70年代ロックバンド、TOTOの名曲を女性シンガー、フェイス・エヴァンスを迎えてカヴァーしたこの作品でもその味がよく出ている。
8. Society Of Soul / Wind
アウトキャストの作品やTLC「Water Fall」などを手がけてるプロデューサーチーム、オーガナイズド・ノイズ。
【今日の一枚】プロデューサーチーム、オーガナイズド・ノイズが女性ヴォーカルを迎えて結成したユニット、ササエティ・オブ・ソウル唯一のアルバム。生演奏を打ち込みのような質感に仕立てたクールなグルーヴは時代の先を行っていたもの。https://t.co/Wovk1FDnXp
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月15日
60~70年代のソウル/ファンクのエッセンスをヒップホップ的なアプローチで再構築したオリジナリティ溢れるサウンドとでも言うべきササエティ・オブ・ソウルのアルバム。中でもサックスをフィーチャーした「Wind」は、アーバン&メロウなスローナンバー。
9. Jill Scott / A Long Walk
ザ・ルーツやコモンとのコラボレーションで頭角を現したフィラデルフィア出身の女性シンガー、ジルスコット。
【今日の一枚】ネオ・フィリー/ネオ・ソウルを語るならジル・スコットも忘れてはいけないアーティストの一人。詩的でジャジーでソウルフルでメロウ。デビュー作にして、申し分のない名盤。https://t.co/3763Pe5zsI
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月17日
フェンダーローズの響きが心地いいジャズテイストのトラックで、ポエトリーリーディングのように詩的な歌詞をソウルフルに歌い上げる「A Long Walk」。絶品と言える1曲。
10. Angie Stone / Everyday
ゴスペルの影響を色濃く感じさせるノース・カロライナ州コロンビア出身の女性シンガー、アンジー・ストーン。
【今日の一枚】ニュークラシックソウルの名盤、アンジー・ストーンのソロデビュー作。オールタイムフェバリット「No More Rain」は勿論のこと歌もサウンドも素晴らしいの一言に尽きる内容。しかもデラックス盤。https://t.co/XDj2F4McAs
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月14日
無駄な音を削ぎ落としたようなシンプルで浮遊感漂うトラックが、逆にアンジー・ストーンの歌とそれに絡む絶妙なコーラスワークを際立たせている極上メロウR&B。
11. Lauryn Hill / Ex-Factor
ラップ・グループ、フージーズのメンバーとしても知られる女性アーティスト、ローリン・ヒル。
【今日の一枚】ローリン・ヒルのソロ・デビュー作。当時のR&Bやヒップホップの流れとは一線を画すオリジナリティとクォリティの高さは、今聴いても存分に感じられる。時代が産んだ寵児のマスターピース。https://t.co/L7I6x3PQGx
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月20日
ウータン・クランの「Can It Be All So Simple」を使用しつつ、生音を巧みにブレンドしてオリジナルな歌物作品に仕立て上げるあたり、プロデューサーとしての彼女の才能も遺憾無く発揮された作品。
12. Gabrielle / Give Me A Little More Time
エイミー・ワインハウスにも通じるUK発レトロ・ソウル。
【今日の一枚】UKの黒人女性シンガー、ガブリエルの96年作。このアルバムは、まず定番ブレイクを使った「Give Me A Little More Time」を聴いてほしいな。60’sソウル調のキュートな1曲。https://t.co/8rzH5SAmVT
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月12日
ジョー・テックスの「Papa Was Two」というヒップホップの定番ブレイクビーツをこういうかわいい歌物に取り入れたりするところにUKっぽさを感じてしまうのは僕だけかな?
13. Musiq Soulchild / Girl Next Door
ネオ・フィリー・ソウル・シーンの代表的男性シンガー、ミュージック(ソウルチャイルド)。
【今日の一枚】ミュージック(ソウルチャイルド)のデビュー作。ラムゼイ・ルイス、パット・マルティーノなど上品なサンプル使いとヴィンテージな生音が絶妙にブレンドされたネオ・フィリーを代表する一枚。スペシャル盤にはマスターズ・アット・ワーク他のリミックスも。https://t.co/biMQKLqnju
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月16日
「Girl Next Door」は、ラムゼイ・ルイスの「My Love For You」をサンプリングしたメロウなトラックに、女性ソウルデュオ、AAriesのアヤナをフィーチャーしたグッドミディアム。
14. D’angelo / Untitled (How Does It Feel)
「甘く危険な香り」。そんな言葉がよく似合うアーティスト、ディアンジェロ。
【今日の一枚】どこか危うさを感じさせるアーティストに惹かれてしまう。ディアンジェロもそんなアーティストの一人。既にファーストのときにその稀有なサウンドスタイルは確率されてるけど、それを更に深化させたソリッドな感触が堪らないのがこのセカンド。https://t.co/5xq7iT0I9f
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月4日
7分にも及ぶ長尺スローナンバー「Untitled (How Does It Feel)」は、セカンドアルバム『Voodoo』の中でもハイライトと言える1曲。
15. Erykah Badu / Tyrone (Extended Version)
90年代後半に脚光を浴びたアーティストでこの人も忘れてはいけない一人、エリカ・バドゥ。
【今日の一枚】これと恐らく同じセットの初来日ライブを観てるんだけど本当に素晴らしかった。カヴァーのセンスも抜群だし、歌のうまさ、ステージング、表現力、演奏どれも完璧だったな。https://t.co/Q4ElGk7NbE
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2019年5月18日
このライブ盤にライブだけでなくスタジオ録音ヴァージョンまで収録されているのが「Tyrone」。ロイ・エアーズの「Everybody Love The Sunshine」を彷彿させるベースラインとクールなエレピが最高に心地いい1曲。
BITTER SWEET & MELLOW : Smooth R&B Classics (1996-2000)
ということで、今回は1996年から2000年までにリリースされたからスムースでメロウなR&Bクラシックス15曲をセレクトしてみました。
今回も、Apple Musicに加入していない方々のためにYoutubeのミックスリストを作ったので、そちらもよかったらチェックしてみてください。