カリブ海の小さな島、ジャマイカ。
この常夏の島で生まれた心地よいリズムの音楽、それがレゲエ・ミュージック。
ときにはメッセージを発信してポリティカルなことを題材にしたり、人々の日々の生活を歌ったりするこの南国の大衆音楽の中で、恋人たちが甘く語り合い踊るのがラヴァーズロックというスタイル。
This Is Lovers Rock…
「タイムレスで、心地よいメロウな曲」を選曲して、マンスリーでお届けしているプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW」。
今月は、レゲエ・ミュージックの中でもとりわけスウィートでメロウなサウンド・スタイル、ラヴァーズロックの名曲をセレクトしてみました。
レゲエ・ミュージックはカリブ海に浮かぶ島、ジャマイカで生まれた音楽だけど、ジャマイカからの移民の多かったイギリス(UK)では独自の音楽スタイルが築かれたのです。その中でもラヴァーズロックは、70年代後半〜80年代前半にかけて当時流行していたソウル・ミュージックの影響からレゲエ版スウィート・ソウルとも言うべき甘くてメロウな楽曲が数多く生み出されました。
そのサウンドは、レゲエならではの夏に聴いても気持ちいいものなんだけど、僕がオススメしたいのは敢えて寒い冬の時期に聴くこと。これが砂糖を入れたミルクティーやカフェオレを飲んだかのようにほっこり温かい気分になれてリラックスできるんです。
ということで、選んだ15曲のレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW : This Is Lovers Rock」。
Contents
- 曲解説
- 1. Alpha / Can’t Get Over You
- 2. Eargasm / This Is Lovers Rock
- 3. Intense / Mellow
- 4. 15-16-17 / I’m Hurt
- 5. Black Harmony / Don’t Let It Go To Your Head
- 6. Tomorrow’s People / It’s Gonna Take A Miracle
- 7. Kofi / Special Nation
- 8. Brown Sugar / I’m So Proud
- 9. Sandra Cross / Stop, Look, Listen
- 10. Carroll Thompson / Sing Me A Love Song
- 11. Winston Curtis / Be Thankful For What You Got
- 12. In Crowd / Getting Cozy
- 13. Marvin James / I’ll Be Around
- 14. Hollie Cook / Sweet Like Chocolate
- 15. Janet Kay / You Bring The Sun Out
- BITTER SWEET & MELLOW : This Is Lovers Rock
曲解説
では、簡単に曲ごとに解説を。
1. Alpha / Can’t Get Over You
80年にUKのレーベル、COOL ROCKERSからリリースされたAlphaの「Can’t Get Over You」。
【今日の一枚】ラヴァーズロックというのはアルバムにまでに至らずアナログレコードのシングルだけを出してるアーティストの中にいい曲がかなりあったりするので、そういうときはコンピレーションを聴くのが一番。その中でもオススメなのがこの作品。本当いい曲が入ってる。https://t.co/InCk9v6m3a
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月24日
今回のプレイリストのサブタイトルにも拝借してる「This Is Lovers Rock」という名のこのコンピレーションには、UK産ラヴァーズロックのいい曲が本当にたくさん収録されているのだけど、他のコンピレーションに収録されてる曲も多い中でAlphaの「Can’t Get Over You」は(おそらく)この作品でしか聴けない1曲。
2. Eargasm / This Is Lovers Rock
UKのレゲエ・アーティスト、Dennis PinnockとUKのレゲエ・レーベル、D-ROYのプロデューサー、Tyrone Davidが組んだユニット、Eargasmが唯一リリースしたシングル。こちらのタイトルもずばり「This Is Lovers Rock」。
【今日の一枚】12インチで持ってる大好きな曲がApple Musicで聴けるとは!Eargasmというグループの「This Is Lovers Rock」。かなり直球のタイトルなんだけど、途中にラヴァーズ&ルーツの名曲がメドレーで登場する最高すぎる1曲。https://t.co/zNzUVVKj9o
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月28日
心地よいテンポのリズムにファルセットぎみのスウィートなヴォーカルとコーラスが絡む、これぞラヴァーズロックと言える王道サウンドにさらに追い討ちをかけるようなメドレー・スタイル。間違いなく最高な1曲。
3. Intense / Mellow
80年代から90年代末くらいまでまで活動していた男性3人組みのラヴァーズロック・グループ、Intenseが98年にAriwaレーベルからリリースしたシングル。
【今日の一枚】UKレゲエ・レーベル、ARIWAのラヴァーズロック・コンピはどれもホント粒ぞろいのいい曲が収録されてるのでオススメ。1曲目のインテンスの「MELLOW」なんて間違いなくプレイリスト入り確実な1曲。https://t.co/JpEN29BWvp
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年12月12日
Ariwaレーベルらしいソフィスティケートされたサウンドに男性コーラス・グループ特有のスウィートネスが絶妙にマッチした爽やかな1曲。
4. 15-16-17 / I’m Hurt
レゲエ・レジェンド、Dennis Brownが兄弟のCastro Brownとともに設立したレーベル、DEB MUSICにもラヴァーズロックの名作がたくさんある。
【今日の一枚】ブラウンシュガーの編集盤を聴いてラヴァーズロック熱が再燃。冬に聴くのもほっこりできてまたいいんだな、これが。デビュー当時の年齢をグループ名にした女の子3人組、15-16-17。ティーンエイジャーにしか出せない甘酸っぱいヴォーカル。最高。https://t.co/dznAiJBgiZ
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月22日
15-16-17(フィフティーン・シックスティーン・セブンティーン)のこのアルバム『MAGIC TOUCH』もそんな1枚。このアルバムもいい曲ばかりなんだけど、その中から瑞々しいヴォーカル&コーラスとグルーヴィーなサウンドが気持ちいい「I’m Hurt」をチョイス。
5. Black Harmony / Don’t Let It Go To Your Head
これもDEB MUSICからのセレクション。
【今日の一枚】以前プレイリストでも選んだジーン・カーンの名曲「Don’t Let It Go To Your Head」。いくつかレゲエ・カヴァーがあるけれど、このコンピに収録されてるBlack Harmonyのヴァージョンが飛び抜けて良い。そしてディスコ好きにオススメするなら最高の一枚がこれ。https://t.co/ulZEWHJW6x
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年12月11日
良質なリイシュー作品をリリースしているSoul Jazz Recordsから出てるコンピレーション『Hustle! Reggae Disco – Kingston, London, New York』に収録されてるこの曲のヴァージョンは、後半にダブを繋いだディスコミックスになっていて、グルーヴィーなベースラインが堪らない1曲。
6. Tomorrow’s People / It’s Gonna Take A Miracle
AriwaレーベルからリリースされてるTomorrow’s Peopleというグループのシングル。
【今日の一枚】デニース・ウィリアムズのカヴァーで知った女性4人組ソウル・グループ、ロイヤレッツの超ドリーミーな名曲「It’s Gonna Take A Miracle」のラヴァーズ・カヴァーを収録してるコンピ。これもAriwaレーベルの音源。ホント選曲のセンス含めていいだよなぁ。https://t.co/VSao2VOFOk
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年12月14日
キュートな女性ヴォーカルに男性&女性混声コーラスが美しく絡む、まさにドリーミーな作品。
7. Kofi / Special Nation
こちらもAriwaレーベルからの音源。UKラヴァーズを代表する女性シンガーのひとり、Kofiの作品。
【今日の一枚】ブラウンシュガーのメンバーだった女性シンガー、コフィの89年作。リリースはUKレゲエ・シーンの奇才、マッド・プロフェッサー率いるAriwaレーベルから。マッド教授らしいメロウでソフィスティケイトされたサウンドに胸がキュンとなるドリーミーな一枚。https://t.co/frKwKhns5M
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月26日
ラヴァーズロックを聴いてるとつい「胸キュン」とか「ドリーミー」という言葉を使いたくなるけど、この曲聴いたらその気持ちが少しわかってもらえるかもと思えるような素敵なサウンドの1曲。
8. Brown Sugar / I’m So Proud
先ほどのKofiとCaron Wheelerという二人の女性シンガーが在籍していたグループ、Brown Sugar。
【今日の一枚】80年代のUKソウルを代表するシンガー、キャロン・ウィーラーも在籍していたラヴァーズロック・グループ、ブラウン・シュガーのコレクションアルバム。ヒット曲から激レアなダブまで良質なリイシューを出すことで定評のあるSoul Jazz Recordsならでは好企画盤。https://t.co/pXx74I2Fs3
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月17日
レゲエ・アーティストにも数多くカヴァーされてるアメリカのソウル・グループ、The Impressionsの名曲「I’m So Proud」をメロウにカヴァーしたこの曲もダブミックス仕様のロング・ヴァージョン。
9. Sandra Cross / Stop, Look, Listen
またもやAriwaレーベルの音源だけど、ラヴァーズロックという分野において質もさることながらそのリリース量の多さでもこのレーベルは別格と言える存在。
【今日の一枚】Ariwaレーベルのマッド・プロフェッサーが手がけた女性シンガーの中でもサンドラ・クロスとの相性の良さは、その作品を聴けば自ずと納得できる。どれも素敵なんだけどスタイリスティックスの大好きな曲「Stop,Look,Listen」が入ってるこのアルバムが今な気分。https://t.co/dKIQIGlGc6
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月27日
原曲の良さとあいまって、しっとりしたメロウネスを内包するサウンドとハイトーンのヴォーカル&ハーモニーが映える1曲。
10. Carroll Thompson / Sing Me A Love Song
ラヴァーズロックを語る上で、忘れてはいけない女性アーティストのひとり、Carroll Thompson。
【今日の一枚】UKラヴァーズを代表するシンガー、キャロル・トンプソンの81年にリリースされたデビューアルバム。透き通るようなキュートなヴォーカルと緩やかでスウィートなレゲエのリズム。ラヴァーズロックの魅力を世界に知らしめた名盤と言える一枚。https://t.co/zn8WIWueSj
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月23日
小気味いいリズムに絡む哀愁感のあるホーンが印象的なサウンドに爽やかなヴォーカルが軽やかに乗るメロウな1曲。
11. Winston Curtis / Be Thankful For What You Got
William Devaughnのメロウ・ソウル・クラシックスのラヴァーズロック・カヴァー。
【今日の一枚】昨日に引き続き、ラヴァーズロックのおすすめコンピを。75〜92年にリリースされたUKラヴァーズの楽曲の中からレアグルーヴ的な解釈で選曲された25曲を収録したアルバム。ダンサブルなディスコやメロウソウルのカヴァーなど、かなり良いセレクション。https://t.co/FULe6LbTKh
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月25日
原曲の持つクールな質感のグルーヴを崩すことなく、メロウなレゲエに仕上げたナイス・カヴァー。
12. In Crowd / Getting Cozy
トロージャンレコードから出てるこのコンピレーションにも40曲も収録された便利な1枚。
【今日の一枚】トロージャンレコードのこのコンピにもUKやジャマイカ産の定番、名曲ラヴァーズロックに混じって中々にレアな音源が収録されてる。その中でもロバータ・フラックのオリジナルも大好きなThe Equatorsの「Feel Like Making Love」カヴァーとか何度聴いても最高。https://t.co/PHFDcx8efR
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年12月1日
「Feel Like Making Love」のカヴァーも最高だけど、ここは選曲の流れからUKのルーツ・レゲエ・グループ、In Crowdの「Getting Cozy」をセレクト。これぞ、ドリーミーなラヴァーズロックのキラーチューンと言える1曲。
13. Marvin James / I’ll Be Around
HOT VINYLというレーベルから出てるMarvin Jamesというアーティストによるコーラス・グループ、Spinnersのカヴァー。
【今日の一枚】部屋のレコード整理をしていて、気になった曲がストリーミングサービスにないか検索してあったりするとちょっと嬉しいんだよね。UKの好きなレゲエレーベルのお気に入りラヴァーズロックが結構収録されてるこのコンピレーションもそんな感じで見つけた一枚。https://t.co/VlDpu2XJnZ
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年12月2日
レゲエの中でも、ラヴァーズロックは「カヴァーの宝庫」と言っていいくらい良質なカヴァーものが多いので「あっ!こんな曲のカヴァーもあるんだ」なんて聴き方をするのも楽しみ方のひとつ。
14. Hollie Cook / Sweet Like Chocolate
パンクロックの伝説的バンド、Sex Pistolsのメンバーを父に持ち、ニューウェーブのカリスマ的グループ、The Slitsの後期メンバーでもあった女性アーティスト、Hollie Cook。
【今日の一枚】UKラヴァーズの伝統を受け継いで、現代に落とし込んだ作品を発表してるアーティストと言ったら、やっぱりホリー・クックだよなぁ。今年頭に出たアルバムもよく聴いたけど、夏頃にリリースされたこのシングルがここ最近の中では一番好き。タイトルもいいね。https://t.co/vUvfGWGpu8
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年12月6日
70年代後半〜90年代のラヴァーズロック作品を選んだこのプレイリストの中で、唯一今年リリースされた新譜と言えるのがこの作品。ちなみにこの曲もカヴァーで、オリジナルはUKのダンスポップ・プロジェクト、Shanks & Bigfoot。
15. Janet Kay / You Bring The Sun Out
この人の曲も避けては通れない。透き通ったようなハイトーン・ヴォイスが魅力のUKラヴァーズの代表格、Janet Kay。
【今日の一枚】ジャネット・ケイって日本で最も知られてる女性ラヴァーズロック・シンガーだろうな。随分前だけどアルバムもかなり売れたし。ただApple Musicでアルバム単位で聴けるのは77〜85年までのヒット曲をまとめたこのベスト盤だけ。でもこれ聴けば間違いない。https://t.co/IRQvSMDwrp
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月30日
数ある名曲の中から、今回のプレイリストの締めとして選んだのは「You Bring The Sun Out」。この曲もカヴァーで、アメリカのジャズ/R&Bシンガー、Randy Crawfordがオリジナルだけど、ジャマイカの伝説的キーボーディスト、Jackie Mittooのプロデュースした浮遊感のあるサウンドが最高すぎる1曲。
BITTER SWEET & MELLOW : This Is Lovers Rock
ということで、今回は70年代後半〜90年代UK産ラヴァーズロックのメロウな名曲をセレクトしてみました。
そして今回も、Apple Musicに加入してない方々のためにYoutubeのミックスリストを作ってみたので、まずはそちらからでもチェックしてみてください。