“One Nation Under A Groove“。
Pファンクの創始者、ジョージ・クリントン率いるファンク・グループ、ファンカデリックの代表的な作品のひとつ。僕はこの曲が大好きです。
曲自体もさることながら、このタイトルが好き。好きというか、僕が音楽を聴く上での指標のようなものと言っていいかもしれない。
直訳すると「ひとつのグルーヴの下にひとつの民族(国家)」。この曲の中ではファンクミュージックの持つグルーヴに対するアンセムになっているのだけれど、僕なりにこの言葉をもう少し広義に解釈すると、共通するグルーヴを持った音楽というのは、国や地域、時代やジャンルを超えたある意味でひとつの仲間(民族)のようなものであること。
僕にとって、音楽の共通言語。
それは、Groove(グルーヴ)。
Contents
- ソウル、ファンク、ディスコ好きが聴くべきメロウなブラジリアン・グルーヴ
- 曲解説
- 1. Gilberto Gil / Palco
- 2. Junior Mendes / Copacabana Sadia
- 3. Marcos Valle / A Paraiba Nao e Chicago
- 4. Os Originais Do Samba / Ginga De Baile
- 5. Carlos Dafe / Hello Mr.Wonder
- 6. Lady Zu / Novidades
- 7. Sandra De Sa / Pela Cidade
- 8. Alexandre Grooves / Sou Louco Por Ela
- 9. Banda Black Rio / De Onde Vem
- 10. Robson Jorge & Lincoln Olivetti / Aleluia
- 11. Emilio Santiago /Bananeira
- 12. Tony Bizarro / クレッセント・ナイト
- 13. Cassiano / Onda
- 14. Arthur Velocai / Bis feat. Azymuth
- 1. 南佳孝 / クレッセント・ナイト
- BITTER SWEET & MELLOW : Brazilian Groove
- ブラジル音楽にはカイピリーニャを
ソウル、ファンク、ディスコ好きが聴くべきメロウなブラジリアン・グルーヴ
古くはジャズに始まり、ソウル、ファンク、ディスコなどのブラックミュージックが世界中に広まり、その国や土地の伝統的な音楽と融合して独特なスタイルの音楽が生まれました(ロックも然り)。
言いかえるなら、ブラックミュージックが蒔いた種が新たな土壌で育まれ、それまでと違った色の花を咲かせたかのよう。
その種というのが、僕はGroove(グルーヴ)なんだと思う。気持ちいいと感じる音楽の持つ本質的な部分、いわば根っこのようなもの。
ということで今回紹介したいのは、ブラジル音楽。
ショーロにサンバ、ボサノヴァなど伝統的な音楽にさまざまな音楽の要素が加味されて、MPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)など数多くの新たなスタイルを生み出し続けている音楽の宝庫。
中でも、ソウル、ファンク、ディスコのエッセンスが注入されたブラジル音楽には、素晴らしいグルーヴを持つ作品が恐ろしくなるほど沢山あります。その中から心地よくて爽快でメロウなブラジリアン・グルーヴを15曲お届けしたいと思います。
ソウル、ファンク、ディスコ好きには是非聴いてもらいたいプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW : Brazilian Groove」。
曲解説
では、簡単に曲ごとに解説を。
1. Gilberto Gil / Palco
ブラジルのポピュラー音楽、MPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)の最重要人物の一人、ジルベルト・ジル。
【今日の一枚】シティポップ系和モノを聴いてると、その影響度からブラジルものが聴きたくなるとツイートしたけど、新作もすこぶる良かったジルベルト・ジルあたりから攻めていこうか。81年作『LUAR』。この中に入ってるポップでリズミックな「Palco」という曲、まじ最高。https://t.co/Zp4DQnsnQl
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月23日
60年代後半から現在に至るまで、常に時代を投影した様々なサウンドを取り入れてきた彼の作品の中でも、ファンクやディスコそしてレゲエの要素が盛り込まれてる70年代後半〜80年代にかけて発表された作品は、今聴いてもとてもヴィヴィッドに感じる。
2. Junior Mendes / Copacabana Sadia
ブラジルのSSW(シンガーソングライター)、ジュニオール・メンデスことルイス・メンデス・ジュニオールが残した唯一のアルバムにして、ブラジリアン・ソウル/ディスコの名盤。
【今日の一枚】1970年代~80年代のブラジル産AORのコンピ『Too Slow to Disco』にも収録されてるジュニオール・メンデスのアルバム。オリジナル盤はいまだに数万するけど、去年めでたく再殺もされてこうしてApple Musicで聴くことができるのは嬉しい限り。もとろん音も最高。https://t.co/e4CNFwfNDS
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月26日
アルバム全体に漂うブラックコンテンポラリー〜AORフレイヴァー。その中でもアルバム・タイトル曲として1曲目に収録されているライトなファンク・チューン「Copacabana Sadia」がおすすめ。
3. Marcos Valle / A Paraiba Nao e Chicago
「ボサノヴァの貴公子」とも称されるブラジルのシンガーソングライターでギタリスト、キーボーディスト、マルコス・ヴァーリ。
【今日の一枚】ブラジル、ボサノヴァ第2世代のメロディメーカー、マルコス・ヴァーリとミスター・メロウネス、レオン・ウェアが組んだ作品なんてどう考えても悪い筈がない。筆舌に尽くし難いソフィスティケイトされたサウンド。これぞ極上ブラジリアン・メロウ・ソウル。https://t.co/sjA92Q2qsH
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月24日
メロウ&グルーヴィーな名曲を多数世に送り出したアーティスト/ソングライター/プロデューサーのリオン・ウェアをプロデューサーに迎えた81年作『Vontade De Rever Voce』の1曲目に収録されている「A Paraiba Nao e Chicago」。この曲はリオン・ウェア自身のアルバム『Rockin’ You Eternally』に別ヴァージョンもあるので、お試しあれ。
4. Os Originais Do Samba / Ginga De Baile
1960年にデビューしたブラジルのコーラス・グループ、オス・オリジナイス・ド・サンバ。
【今日の一枚】元祖コーラス・サンバ・グループ、オス・オリジナイス・ド・サンバの83年作。往年のソウル・マナーなジャケットからプンプン匂ってくる良さげなこの雰囲気。音の方もやっぱり間違いなかった。気持ちいい〜。https://t.co/LaMiDPoZFZ
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年9月9日
サンバの魅力のひとつでもあるユニゾンのコーラスとゴージャスなオーケストラ・サウンドが気持ちよくハマってる爽快なブラジリアン・ソウル曲。
5. Carlos Dafe / Hello Mr.Wonder
70〜80年代にかけて活躍したブラジルの黒人SSW、カルロス・ダフェ。
【今日の一枚】ソウル・ブラジレイロ(ブラジルのソウルミュージック)を代表するシンガーの一人、カルロス・ダフェのデビュー作とセカンドが2 in 1になったアルバム。サンバがベースにありつつソウル、ファンクのテイストを全面に出たクロ〜い作品。ファンキー。https://t.co/D1NpPr4oNs
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年9月10日
1曲目冒頭のドラムブレイクから引き込まれるデビューアルバムに収録されている「Hello Mr.Wonder」は、タイトルからも分かる通りスティーヴィー・ワンダーを意識した爽快なメロウ・ソウル。
6. Lady Zu / Novidades
ブラジルのディスコ・クイーンと呼ばれるシンガー、レディー・ズー。
【今日の一枚】サンドラ・ヂ・サーと並ぶブラジリアン・ソウルのディーヴァにしてディスコクイーン、レディー・ズーの77年作。1曲目の爽快なディスコナンバー「Novidades」からご機嫌なブラジリアン・ディスコの名盤。https://t.co/Av05H8064M
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年9月4日
この「Novidades」は、ブラジルのSSW、ペニーニャの77年作『Sonhos』に収録されている曲のカヴァーで、ギターのカッティングが心地いいファンキーな1曲。
7. Sandra De Sa / Pela Cidade
80年代から活躍するブラジリアン・ソウル/R&B女性シンガーの、
【今日の一枚】ブラジリアン・ソウル・ディーヴァ、サンドラ・ヂ・サーを聴くならまずはこのアルバムを。「バーリトゥード(何でもあり)」なんて格闘技好きが反応するタイトルだけど、ファンキー、メロウ、スロウジャムなど多彩なサウンドの中に今っぽさを感じる1枚。https://t.co/7MWZlzsy3K
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年9月3日
グルーヴィーなリズムに軽快なホーンのフレーズが絡むブラコン風アーバン・メロウな1曲。
8. Alexandre Grooves / Sou Louco Por Ela
2007年にブラック・コンテンポラリーの要素を取り入れたサンバ・ソウル作『Amanha Eu Nao Vou Trabalhar(邦題:明日は休もうよ)』で話題となったサンパウロ出身のSSW、アレシャンドリ・グルーヴィス。
【今日の一枚】遅ればせながら知ったブラジルのSSW、アレシャンドリ・グルーヴィスが2017年に発表したアルバム。2曲目「Sou Louco Por Ela」という曲を耳にした瞬間、ゾクっときてしまった。サンパウロ版シティポップなんて形容もされてるけどグルーヴの気持ち良さ半端ない。https://t.co/AD9yxzBunv
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年9月17日
10年ぶりのセカンド・アルバム『MULTI』に収録されている「Sou Louco Por Ela」。サウンド的にはブラジル音楽的要素はあまりないけど、爽快感溢れる美しいメロディーとコード進行にブラジル〜サンバの影響をしかと感じさせるグルーヴィーな1曲。
9. Banda Black Rio / De Onde Vem
ブラジルのEW&F(アース・ウィンド&ファイアー)との異名も取るファンクバンド、バンダ・ブラック・リオ。
【今日の一枚】サンバ・ファンクなんて呼ばれ方もされるブラジリアン・ファンクを象徴するグループの一つ、パンダ・ブラック・リオのセカンド。70年代後半のクール&ザ・ギャングやクルセイダーズを彷彿させるグルーヴの中にきっちりとブラジリアンならではのエッセンスが。https://t.co/ArOYeWe7HX
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月25日
ジルベルト・ジルのバックバンドも務めていた彼ら。名盤のファースト『Maria Fumaca』やツイートしたセカンド『Gafieira Universal』も素晴らしいけど、今回のプレイリストでは更にメロウ度が増したサード・アルバム『Saci Perere』の中からEW&Fばりのハーモニーとキレの良いホーン・アレンジが光る「De Onde Vem」をチョイス。
10. Robson Jorge & Lincoln Olivetti / Aleluia
プロデューサー/アレンジャーとしてブラジルの多くのアーティスト達の作品を手がけてきたホブソン・ジョルジとリンコルン・オリヴェッチ。
【今日の一枚】プロデューサーとしても活躍した2人の才人がタッグを組んでリリースした82年のアルバム。メロウでアーバンなブラジリアン・グルーヴが気持ちいい名盤。ブラジリアン・ブギー曲の「Aleluia」なんかは、タキシードとか聴いてる人は絶対好きな筈。https://t.co/HeZGsqYfXd
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月27日
オリジナル盤は200ドル以上すると言われる二人名義唯一のアルバムは、この「Aleluia」の他にも名アレンジャーならではの多彩なサウンドを堪能できる必聴作。
11. Emilio Santiago /Bananeira
「ブラジルのナット・キング・コール」とも呼ばれるリオ・デ・ジャネイロ出身の男性シンガー、エミリオ・サンチアゴ。
【今日の一枚】1曲目「Bananeira」のイントロのドラムブレイクから一気に引き込まれるブラジル人シンガー、エミリオ・サンチアゴのアルバム。ブラジリアン・ソウルから流麗なサンバまで、多彩なアレンジを見事に乗りこなすエミリオの素晴らしい歌声が堪能できる一枚。https://t.co/BLn5eOyDm3
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月29日
ブラジリアン・レアグルーヴの名曲として知られる「Bananeira」。ドス黒いファンクネスについループして聴きたくなる覚醒感のある1曲。
12. Tony Bizarro / クレッセント・ナイト
もう1曲ブラジリアン・レアグルーヴの名曲を。1977年にリリースされたトニー・ビザロのソロ名義としてのファースト・アルバム『Nesse Inverno』に収録されている「Nao Vai Mudar」。
【今日の一枚】ソウル・ブラジレイロ、サンバ・ソウル、呼び方はいろいろあるけどソウル/ファンク/ディスコに影響を受けたブラジル音楽はマジでいい。トニー・ビザロのこのアルバムもそんな一枚。ホットなんだけどクールなブラジリアン・レアグルーヴの名盤。https://t.co/SBXsTOPwuC
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年9月11日
USファンク・マナーなバックトラックに、トニー・ビザロのソウルフルなヴォーカルが見事にマッチしたクール&ファンキーな1曲。
13. Cassiano / Onda
コンポーザーであり、シンガーであり、ギタリストでもあるブラジル人アーティスト、カシアーノ。
【今日の一枚】ブラジリアン・ソウルの偉人、カシアーノの76年にリリースされたアルバム。ソウルフルな楽曲が多数収録されてる中でも、とりわけ4曲目の「Rock Your Baby」的なグルーヴィーな黄昏チューン「Onda」が素晴らしすぎる。何度もリピートしたくなる1曲。https://t.co/I4RpfOttD7
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年9月2日
心地よいグルーヴのベースラインに乗るファルセット・ヴォーカルが気持ちよすぎるサウダージ感溢れる1曲。ちなみに「Onda」とポルトガル語で「波」のことで、聴けばなるほどと思うはず。
14. Arthur Velocai / Bis feat. Azymuth
個人的に、ブラジル音楽の奥深さを痛烈に感じた作品のひとつ。
【今日の一枚】アレンジャー/プロデューサーとして60年代から大物MPB アーティストを手掛けてきた奇才、アルトゥール・ヴェロカイが2007年に発表した作品。音の質感がとにかく良い。古びないサウンドというのはこういう作品を指すのだなと改めて感じさせる素晴らしい内容。https://t.co/wYt03OVWZj
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月31日
そのアルバム『Encore』に収録されているブラジルを代表するのジャズ・ファンク/クロスオーバー/フュージョントリオ、アジムスと共演した「Bis」。メロウ・ソウルの名曲。
1. 南佳孝 / クレッセント・ナイト
最後は、ファンキーなブラジリアン・ディスコ。
【今日の一枚】昨日ツイートしたアレシャンドリ・グルーヴィスも在籍していたグループ、グルーヴェリアが昨年出したアルバム。総勢31人が参加してブラジル独特のリズムと70’sファンク/ディスコが融合したなんとも豪華で最高にファンキーな一枚。めちゃくちゃカッコいい!https://t.co/QsHEQV3XXw
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年9月18日
サンパウロの若手ジャズ・ドラマーで、作曲家、プロデューサーとしても活躍するトゥト・フェハス率いるサンバ・ソウル〜サンバ・ホッキのグループ、グルーヴェリアの『Moto-Continuo』もアルトゥール・ヴェロカイのアルバム同様、ブラジル音楽と様々な音楽要素が見事に融合した素晴らしい内容の作品。その冒頭を飾っているのが、この「Funky Nite」。
BITTER SWEET & MELLOW : Brazilian Groove
ということで、今回はメロウなブラジリアン・グルーヴを15曲セレクトしてみました。
ブラジル音楽って日本だと夏っぽいイメージがあるかもしれないけど、全然そんなことないと思う。勿論トロピカルな曲も一杯あるけど、サンバをベースにしながら様々なスタイルを取り入れたサウンドは本当に奥深いし洗練されてて、いつでも聴ける素晴らしい作品が止めどなくある。
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年9月23日
これまでそれほど集中的に聴いてこなかったブラジル音楽だけど、正直言って「宝の山」を発見したような気分。本当に素晴らしい作品がたくさんあるので、よかったらプレイリストを聴いてみてください。
そして今回は、Apple Musicに入っていない方々のためにYoutubeのミックスリストを作ってみました。
1曲目のジルベルト・ジルの「Palco」だけでもまず聴いてみてください。その曲が気に入ったら、このプレイリストに入ってるどの曲も気に入ってもらえると思いますよ!
ブラジル音楽にはカイピリーニャを
ブラジル音楽を聴くなら、ブラジルのカクテルを飲みながら楽しむなんてのもいいですよ。
ブラジルの代表的なカクテル「カイピリーニャ」を自宅で簡単に作れる記事も合わせてご覧ください。