植木鉢に求めるもの。
「植物を飾る」という意図で捉えたら、デザインや質感というものが一番に優先されるでしょう。
ただ、鉢植えの植物にとって、植木鉢というのは自分の居場所であり成長していく上で大切な住処であるわけで、育てる側にとしても植物が気持ちよく育ってくれる環境を提供してあげるのが本筋だと思うんです。
道具(ツール)で言ったら機能的な部分。今回はそうした側面を考慮して先日購入したネイティブ・プランツ、リューカデンドロンの植え替えをしてみることにしました。
リューカデンドロン・レッドデビル
「庭に植えても、鉢植えでも。ワイルドでカッコいいオーストラリアのネイティブ・プランツ」でも紹介したヤマモガシ科リューカデンドロン属の常緑低木、リューカデンドロン。
和名はギンヨウジュ(銀葉樹)といい、南アフリカが原産だけどオーストラリアやニュージーランドで盛んに交配されて園芸化されたので、日本に出回っているのはオーストラリアやニュージーランド産のものが多いのだとか。
リューカデンドロンは、花や蕾が苞葉(ほうよう)の中に隠されている植物。
苞葉とは、蕾を包むように葉が変形した部分のことで、色付いた苞葉は丈夫で長持ちするため、切花、ドライフラワーとしても人気。
夏の終わりから晩秋にかけて、赤やオレンジなどに色づいて長く花としても楽しめます。
背丈は1〜2mまで成長するもの(中には10mを超えるものも)が多く、種類も豊富で、サファリサンセット、ストロベリーフェア、ジェイドパール、エボニー、パープルヘイズなど色もモチーフにしたチャーミングなネーミングのものが多かったりします。
僕が購入したレッドデビルもカラーリングからその名がつけられた枝の先端が緑色から濃い赤色へと変化する品種。
リューカデンドロンの育て方
日当たりがよく水はけのよい場所を好むリューカデンドロン。
耐寒性がやや弱いので、庭植えの場合は関東地方以南の太平洋側ならOKでしょう。関東より北の場合は鉢植えで冬は室内にとりこんで育てるのがベター。
植え替えする際の土は、水はけがよく酸性であることがポイント。なので、赤玉土、腐葉土、鹿沼土を自分でブレンドしました。
基本的に肥料もほぼ必要なく育てるのも難しくないのですが、多湿状態を嫌うので、水やりだけは少し注意した方がいいかと。
逆に乾燥にはわりと強いので、土の表面が乾いたら水をたっぷりあげるよう、水やりの間隔をしっかりあけてあげるのが良いと思います。
井澤製陶「いぶし鉢」
良質な粘土が採れることで有名な愛知県碧南市で、三河土を使って植木鉢を製造している井澤製陶の「いぶし鉢」。
スタンダードなデザインに加えて、マットな質感のグレーがミニマルな印象すら感じさせるとてもシンプルな植木鉢。
良質な赤粘土である三河土を焼成(しょうせい)した後、窯の中でいぶすと煙の色で、マットな灰色(グレー)に仕上がるのだそうです。
粘土を原料としている素焼鉢というのは空気と水を通すことで知られていて、それが呼吸をしている植物の根にもよく、根腐りしにくくし、植物をより自然に近い環境で育てられるというわけです。
水はけのよい場所を好むリューカデンドロンには、相性のかなりいい植木鉢と言えるでしょう。
深鉢、浅鉢の2種類があり、サイズも適度に揃ってます。
同素材の受皿があるのも嬉しいところ。
「いぶし鉢」の他にも、古くから屋根瓦やタイルに使われてきた三河釉薬を合わせた「VINTAGE GLAZE」シリーズやデザインの素晴らしい「MARCO POT」「UFO POT」(個人的に欲しいと狙ってる!)というタイプもあるので、気になったら井澤製陶のHPをチェックしてみてください。
ネイティブ・プランツと「いぶし鉢」は相性がいい
実は、リューカデンドロン・レッドデビルの植え替えをする前から、「いぶし鉢」をニュージーランド原産のティーツリー、ナニュームルブルムに使っています。
植え替えしてから数ヶ月経ちますが、とても調子よく育っているので、ネイティブ・プランツと「いぶし鉢」はやはり相性がいいと思います。
加えてデザインもシンプルだし、値段も手頃。
何種類かのネイティブ・プランツをお揃いの「いぶし鉢」で育てるのも統一感が出ていいと思います。