初めての一人旅で訪れた街、夏のニューヨーク。
時代は、80年代後半。ヒップホップやレゲエが好きだった僕にとって、ストリートミュージックの聖地と言えるその街を初めての一人旅の場所として選んだのは自然な流れだったのかもしれない。
当然のごとくヒップホップやレゲエが街中から聴こえてくるものだと思っていたその街を歩いていて、もっとも耳にしたのサルサミュージック。当時の僕にはあまり耳馴染みのない音楽だったけど、スペイン語圏のカリブ海の島々から移り住んできたラティーノ達が多いニューヨークでは、サルサもまたストリートミュージックのひとつなのだと感じ取れたのは、短い滞在期間の終わり頃だった。
摩天楼の何処からともなく聴こえてくる、カリブ海で育まれた豊潤なリズムとセンチメンタルでエレガントなメロディー、サウンド。それをきっかけにサルサミュージックにハマったのもまた自然な流れかもしれない。
Contents
- 暑い夏を涼しくしてくれるクールでメロウなNYサルサ15曲
- 曲解説
- 3. Cheo Feliciano / Anacaona
- 4. Willie Colon & Hector Lavoe / Anacaona
- 5. Hector Lavoe / El Cantante
- 6. Willie Colon & Ruben Blades / Plastico
- 7. Sonora Poncena / Joldo
- 8.Roberto Roena Y Su Apollo Sound / Que Se Sepa
- 9. Joe Bataan / Latin Strut
- 10. Orchestra Harlow / Horsin’ Up feat. Ismael Miranda
- 11. Eddie Palmieri / Vamonos Pal Monte
- 12. Bobby Valentin / Borinquen Yo Te Canto
- 13. Ray Barretto / El Diablo
- 14. The Lebron Brothers Orchestra / Summertime Blues
- 15. Celia & Johnny / Vieja Luna
- BITTER SWEET & MELLOW : Fania’s Summer Moods
暑い夏を涼しくしてくれるクールでメロウなNYサルサ15曲
「タイムレスで、心地よいメロウな曲」を選曲して、マンスリーでお届けしているプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW」(7月に更新する予定が少し遅れてしまいました)。
今回は、NYサルサを代表する歴史的レーベル、Fania Records系のサルサミュージックの中でもクールでメロウなテイストの15曲をセレクトしてみました。
暑い夏を涼しくしてくれるNYサルサのプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW : Fania’s Summer Moods」。
曲解説
では、簡単に曲ごとに簡単な解説を。
1. Fania All Stars / Estrellas De Fania
Fania Recordsでまず外せないのが、ファニア・オールスターズ。
【今日の一枚】サルサの代表的レーベル、ファニアの人気アーティストを集結させたファニア・オール・スターズの伝説的ライブとNYスパニッシュ・ハーレムの模様をとらえたドキュメンタリー映画のサントラ。こういう音源は映像とともに何度でも聴き(観)返したくなる。https://t.co/yFIyHNeTlC
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 9, 2019
ライブならではの熱さの中に秘められたクールなサウンド。必聴です。
2. Johnny Pacheco & Pete “Conde” Rodriquez / La Esencia Del Guaguanco
Fania Recordsの創設者にしてミュージシャン、アレンジャー、作曲家、プロデューサーのジョニー・パチェーコ。
【今日の一枚】ファニア屈指の黄金コンビと語る注がれるジョニー・パチェーコとピート “エル・コンデ” ロドリゲスのアルバム。このコンビによるアルバムは何枚かあるけど、その中でもNYの夜を感じさせるアーバン度の高い作品がこれだと思う。https://t.co/W0wHLTyIqZ
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 17, 2019
アフロ・プエルトリカンの名歌手であるピート “エル・コンデ” ロドリゲスは、ジョニー・パチェーコの楽団の専属歌手でもあったので、このコンビの安定感は抜群。
3. Cheo Feliciano / Anacaona
サルサシンガーとして、1970年代の音楽シーンを彩った伝説的アーティスト、チェオ・フェリシアーノ。
【今日の一枚】プエルトリコの至宝的シンガー、チェオ・フェリシアーノの72年作。ファニアのライブ盤でも歌ってる名曲「Anacaona」他捨て曲なしの素晴らしさ。https://t.co/Zdl5XQbw0O
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 24, 2019
ヴィブラフォンの音色が心地いい名曲「Anacaona」は、サマー・ヴァイブ溢れる1曲。
4. Willie Colon & Hector Lavoe / Anacaona
個人的にもっとも大好きなサルサアーティストが、このウィリー・コロン。
【今日の一枚】NYサルサというかサルサを聴くきっかけとなったアーティストが、このウィリー・コロン。ファニア時代のアルバムは全て大好きで今でもよく聴くけど、このベスト盤も便利な一枚。https://t.co/GytqUoUdwK
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 8, 2019
トロンボーンを全面に押し出したホーンセクションのスタイル「トロンバンガ」で重厚感のある都会的なサウンドを生み出してきたプロデューサーでもあるウィリー・コロン。初期作品の不良感溢れるルーディーなビジュアルの作品でもぜひチェックしていただきたい。
5. Hector Lavoe / El Cantante
ウィリー・コロンとのコンビで不動の人気を築いたシンガー、エクトル・ラボー。
【今日の一枚】トロピカルでありながら都会の音楽と化したサルサ・サウンドに乗る華麗なオーケストレーションと繊細な美声。これぞNYサルサの真髄と言えるのがエクトル・ラボーのこのアルバム。1曲目の「El Cantante」から素晴らしい。センティミエント(情感)溢れる作品。https://t.co/tL6EF5lhFk
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 13, 2019
繊細であるが故に、私生活では酒とドラッグに溺れてしまったこの天才シンガーの生涯は、ジェニファー・ロペスが製作/出演、マーク・アンソニー主演で画化もされています。
6. Willie Colon & Ruben Blades / Plastico
パナマ出身のシンガーで俳優、政治家としても活動するルーベン・ブラデスもNYサルサを代表するアーティストで、この人もウィリー・コロンとのコンビで名盤を残している一人。
【今日の一枚】 NYサルサの二大巨頭、ウィリー・コロンとルーベン・ブラデスが78年に発表したアルバム。時代の空気を取り入れたイントロが秀逸な「Plastico」等モダンなラテン・サウンドが展開されてる粋な一枚。https://t.co/lOzlbCHi70
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 2, 2019
ディスコ風のイントロから始まり、途中で映画「ゴッドファーザー」の「愛のテーマ」のメロディーを引用したフレーズまで登場する「Plastico」が収録されているこのアルバム『Siembra』はその中でも必聴と言える作品。
7. Sonora Poncena / Joldo
プエルトリコの国民的なサルサ楽団、ソノーラ・ポンセーニャ。
【今日の一枚】親子2代に渡って60年以上活動を続けるプエルトリコを代表するサルサ楽団、ソノーラ・ポンセーニャ。王道とも言えるオーセンティックなサルサ・サウンドにジャズのラテンフュージョン風カヴァーなんかも入った爽快感溢れる一枚。https://t.co/BZCbtHdOsY
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 26, 2019
このグループの聴き処は、パポ・ルッカという世界にその名を轟かすカリスマ・ピアニストの名演。ジャズ・ピアニスト、デューク・ジョーダンの曲をカヴァーした「Joldo」はラテンフュージョン風クールな仕上がり。
8.Roberto Roena Y Su Apollo Sound / Que Se Sepa
70年代に自身のグループ、Apollo Soundを率いて数々のアルバムをリリースしているプエルトリコ出身のパーカッション奏者、ロベルト・ロエーナ。
【今日の一枚】ファニアオールスターズの一員でもあったパーカッショニスト、ロベルト・ロエーナが自身のグループを率いて発表した5作目。全編通してNYサルサを代表するような内容なのだけれど、ファンキーなラテングルーヴと言える「Que Se Sepa」の素晴らしさときたら最高。https://t.co/RmTB2vF4BQ
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 21, 2019
1960年代後半から70年代前半にかけてニューヨークを中心に大流行したソウルとラテンミュージックが融合したサウンド「ブーガルー」の流れをくむファンキー・グルーヴ。
9. Joe Bataan / Latin Strut
その「ブーガルー」で忘れてはいけないのがニューヨーク出身のアーティスト、ジョー・バターン。
【今日の一枚】サルサ誕生前に流行った短命のラテン音楽、ブーガルーの第一人者と言えば、ジョー・バターンのの最高傑作と誉れ高い74年。ガラージ・クラシックス「LATIN STRUT」は何度聴いても、素晴らしい名曲。https://t.co/fdfKHUiyAF
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 7, 2019
ブラジル出身のキーボード奏者、デオダートの「Super Strut」をラテンファンクにカヴァーした「Latin Strut」。最高にクール。
10. Orchestra Harlow / Horsin’ Up feat. Ismael Miranda
この曲も「ブーガルー」のカヴァー物としては、最高の1曲。
【今日の一枚】ブーガルー全盛期、オルケストラ・ハーロウの69年作。アーチー・ベル&ザ・ドレルズの「Tighten Up」にクリフ・ノーブルズ&カンパニーの「The Horse」のフレーズをミックスした1曲目からして激ヤバな一枚。https://t.co/ER132LUu2P
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 19, 2019
ニューヨーク、ブルックリン生まれのピアニスト、ラリー・ハーロウ率いるオルケストラ・ハーロウが、プエルトリコ人シンガー、イスマエル・ミランダを迎えた初期作品。時代の空気を敏感に捉えた1枚。
11. Eddie Palmieri / Vamonos Pal Monte
兄のチャーリーと共にNYラテンの礎を築いたサウスブロンクス出身のピアニスト、エディ・パルミエリ。
【今日の一枚】NY出身ラテン・ジャズ、サルサの巨匠、エディ・パルミエリの71年作。ハードなラテン・アルバムなのだけどジャジーでレアグルーヴ的なニュアンスも感じさせる、熱いのにクールなヴァイブが随所に感じられる作品。https://t.co/Yixdpe4KZ5
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 11, 2019
この作品にも感じられるレア・グルーヴ感を更に深化させたエディ・パルミエリが70年代初頭に率いていたグループ、ハーレム・リヴァー・ドライヴのアルバムもおすすめ。
12. Bobby Valentin / Borinquen Yo Te Canto
Fania Records充実期の1974年作。
【今日の一枚】ファニアオールスターズのベース奏者でもあったボビー・ヴァレンティンの74年作。当時のサルサアーティストには珍しく英語のタイトルでジャケもジャズ/フュージョン風。おそらく賛否両論あっただろうけど、今聴くとラテンフュージョンとして楽しめる一枚。https://t.co/2ksJbKeavF
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 14, 2019
オーソドックスなサルサながら、ベーシストのリーダー作ならではのグルーヴを感じる1枚。
13. Ray Barretto / El Diablo
NYスパニッシュ・ハーレム出身のパーカッショニスト、レイ・バレット。
【今日の一枚】NYサルサ絶頂期に出たファニアオールスターズのリズム隊の要、レイ・バレットの73年作。ハードコア・サルサな一枚だけど、ヴォーカルやメロ系楽器に呼応するかように”歌ってる”コンガ”の音に思わず痺れる。https://t.co/BY91sWTrgo
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 16, 2019
ラウンジンなピアノ・ソロが涼しげに鳴り響くクールな1曲。
14. The Lebron Brothers Orchestra / Summertime Blues
レゲエの一ジャンル「ロックステディー」もそうだけど、短命で終わった音楽ムーブメントには、いい曲が意外とたくさんあったりするもの。
【今日の一枚】ブルックリン出身の5人兄弟バンド、レブロンブラザースのファースト。69年のリリースなだけにブーガルー色の濃いサウンドがヒップでルーディー。1曲目の「Summertime Blues」からご機嫌な1枚。https://t.co/pE3j7bAJYC
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 3, 2019
レブロンブラザースのこのアルバムもそんな1枚。
15. Celia & Johnny / Vieja Luna
とにかくエレガントでゴージャスな歌と演奏を堪能できる極上なサルサ作品。
【今日の一枚】アレサ・フランクリン、美空ひばりと並ぶ、女王クラスのシンガー、セリア・クルースとファニア・レーベルの創設者でフルート奏者のジョニー・パチェーコがコラボして74年に発表されたアルバム。歌、演奏ともに音楽の”熱”を感じるような素晴らしい作品。https://t.co/DvkWTnPWqZ
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) July 10, 2019
彼女の代表曲であり、サルサ定番曲としても知られるアップテンポな「Quimbara」も素晴らしいけど、今回のプレイリストの締めにはムーディーなこの曲を。
BITTER SWEET & MELLOW : Fania’s Summer Moods
ということで、暑い夏をちょっと涼しくしてくれるクールでメロウなNYサルサを15曲セレクトしてみました。
今回も、Apple Musicに加入していない方々のためにYoutubeのミックスリストを作ったので、そちらもよかったらチェックしてみてください。