上質なグルーヴを持った音楽というのは、決して忘れ去られたりしない。
日々生まれるトレンドの流れから一時的に置き去りにされることもあるけど、その良さを発見し新たな解釈まで付け加える人たちが必ずいる。
サンプリングして新たな音楽をクリエイトするビートメイカー、卓越した選曲センスで古い音楽ですら新鮮に聴かせてしまうスキルを持ったDJ。
そんな彼らが新たな命を吹き込んだ曲を聴いた若い世代が、またその良さに気づく。そうして繰り返されるポジティブな連鎖によって、いつまでも廃れることのない音楽が生まれる。
それが、Classics(クラシックス)。
Contents
- いつまでも廃れることのないメロウなジャズファンク・クラシックス
- 曲解説
- 1. Donald Byrd / Wind Parade
- 2.Bobbi Humphrey / Uno Esta
- 3.Lonnie Smith / It’s Changed
- 4.Bob James / One Mint Julep
- 5.Grover Washington Jr. / Mister Magic
- 6.Ramsey Lewis / Sun Goddess
- 7.Azymuth / Last Summer In Rio
- 8.George Duke / Corine
- 9.Ronnie Laws / Tidal Wave
- 10.Hubert Laws / Heartbeats
- 11.Eddie Henderson / Inside You
- 12.Jimmy Ponder / Love Will Find A Way
- 13.George Benson / Gonna Love You More
- 14.Gary Bartz / Music Is My Sanctuary
- 15.The Crusaders / Keep Same Old Feeling
- BITTER SWEET & MELLOW : Jazz Funk Classics
いつまでも廃れることのないメロウなジャズファンク・クラシックス
「タイムレスで、心地よいメロウな曲」を選曲して、マンスリーでお届けしているプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW」。
今月は、メロウ・ミュージックの宝庫と言ってもいい70年代のジャズファンクの名演、クラシックスの中から少し肌寒くなってきた秋に合いそうな15曲をセレクトしてみました。
ジャズをベースとしながらR&Bやソウル、ファンクの要素を取り入れた独特のメロウネスを音に刻んできたアーティスト達のプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW : Jazz Funk Classics」。
曲解説
では、簡単に曲ごとに解説を。
1. Donald Byrd / Wind Parade
ジャズファンクを語るときに忘れてはいけない人物の一人(一組)と言えるのが、ラリーとフォンスの二人の兄弟からなるマイゼル・ブラザーズ。スカイハイ・プロダクションズとしてジャズとソウル、R&Bの垣根を壊した画期的なサウンドを創りブルーノートなどから不朽の名作を世に送り出してきたプロデュース・チーム。
【今日の一枚】マイゼル・ブラザーズを語る上でまず外せないのがジャズ・トランペッター、ドナルド・バード。通算5枚のアルバムをプロデュースしてるんだけど、そのどれもが素晴らしいという相性の良さぶり。このアルバムもほんといい曲がいっぱい入ってる。https://t.co/0Bi7H9VaXd
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年10月25日
レアグルーヴの名盤として知られる、75年にブルーノートからリリースされたドナルド・バードのアルバム『Places & Spaces』に収録されてる「Wind Parade」は、マイゼル・ブラザーズらしい流麗なサウンドが耳を惹く1曲。
2.Bobbi Humphrey / Uno Esta
この曲もスカイハイ・プロダクションズのプロデュースによる1曲。
【今日の一枚】女性フルート奏者、ボビー・ハンフリー。以前プレイリストで取り上げた『Blacks and Blues』も素晴らしいけど、この『Fancy Dancer』も紛れなくメロウグルーヴの名盤。どちらもマイゼル・ブラザーズ絡みの作品。最高。https://t.co/OHoxKBBl8y
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年10月26日
さまざまなサウンドが鏤められた上品で小気味好いリズム・アンサンブルの上で、自由に空を飛ぶ鳥のように漂う美しいフルートの音色。マイゼル・ブラザーズのアレンジの素晴らしさを思う存分堪能できる作品。
3.Lonnie Smith / It’s Changed
ブルーノートやソリッド・ステイトと言った名門レーベルでプロデューサーとして活躍した人物、ソニー・レスターが1971年に設立したレーベル、Groove Merchant(グルーヴ・マーチャント)もジャズファンク好きなら、間違いなく押さえておきたいレーベル。
【今日の一枚】今でも現役で活動する伝説のオルガン・プレイヤー、ロニー・スミスがジャズファンクの総本山と言えるレーベル、グルーヴ・マーチャントに遺したアルバム。ファンキーなキラーチューンの表題曲や至極のメロウ曲「It’s Changed」など名盤と呼ぶに相応しい作品。https://t.co/7fW3ylKV24
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月5日
ジャズ・ギタリスト、ジョージ・ベンソンのオクターブ奏法が炸裂する「It’s Changed」。メロウの極地を言える1曲。
4.Bob James / One Mint Julep
ジャズ・フュージョン界を代表するピアニスト、プロデューサー、作曲家、編曲家であるボブ・ジェームズ。
【今日の一枚】この人もヒップホップのサンプリング・バイブルのようなアーティスト、ボブ・ジェームズの76年にリリースされたサードアルバム。卓越したミュージシャン達と作り上げられたタイトで洗練されたサウンドが堪らない一枚。https://t.co/KkrjwtPZyI
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月9日
定番ブレイクビーツとして知られる「Westchester Lady」も収録されてるアルバム『Three』の1曲目に入ってる「One Mint Julep」はスリリングな展開が耳を奪うアーバン・コンテンポラリーなジャズファンク作品。
5.Grover Washington Jr. / Mister Magic
スムース・ジャズの大御所としても知られるジャズ・ミュージシャン、グローヴァー・ワシントン・ジュニア。
【今日の一枚】サックス奏者、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの74年作。このアルバムに入ってる曲を何人のアーティストがサンプリングしてるんだろう?それだけいいグルーヴに溢れてるってことの証なんだけどね。プロデュースは、ボブ・ジェームス。最高。https://t.co/TxCBg5rBxR
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月8日
クールなグルーヴが堪らない、アルバム・タイトルでもあるこの曲もヒップホップ・アーティストやDJ達に愛され続けている永遠の定番。
6.Ramsey Lewis / Sun Goddess
ブラジリン・グルーヴを想起させるような気持ちよすぎるサウンド。
【今日の一枚】アルバムタイトルでもある、メロウ・ジャズファンクの名曲を収録したジャズピアニスト、ラムゼイ・ルイスの74年作。プロデュースはアース・ウインド&ファイヤーのモーリス・ホワイト。スティービー・ワンダーの「Living for the City」のカヴァーもナイス。https://t.co/US04gzORE4
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月4日
Pete Rock & CL SmoothやMos Defなどにもサンプリングされてる「Sun Goddess」。正にメロウ・ジャズファンクの名曲。
7.Azymuth / Last Summer In Rio
ブラジルのジャズファンクを聴くなら、まずオススメしたいのが60年代後半から活動するジャズ・ファンク/クロスオーバー/フュージョントリオ、アジムス。
【今日の一枚】ブラジリアングルーヴのプレイリストを作ったときに入れることができなかったブラジルを代表するフュージョングループ、アジムスが81年に発表した作品。「Last Summer In Rio」 なんて夏っぽい曲名だけど、いつ聴いても素晴らしい極上なメロウ・フュージョン。https://t.co/gj1nEIjWd4
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月3日
「Last Summer In Rio」は、途中に出てくるギター・ソロも気持ちいいエレピをフィーチャーした黄昏モードの極上メロウグルーヴ。
8.George Duke / Corine
リオデジャネイロで現地のミュージシャンたちとレコーディングしたアルバムも出しているブラジルと縁の深いアーティスト、ジョージ・デューク。
【今日の一枚】スタンリー・クラークのとのユニットでも知られるカリフォルニア出身のピアニスト兼コンポーザー、ジョージ・デュークの79年作。ファンクをベースにしたダンサブルなサウンドの中に鏤められたミッド&スロウなメロウ・グルーヴがキラッと光る一枚。https://t.co/IgGeRBhgGT
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月14日
愛妻の名を冠したスロウなメロウ・チューン「Corine」。この曲は、ジョージ・デューク本人がプロデュースしたヴァイブ奏者、カル・ジェダーのヴァージョンも有名。
9.Ronnie Laws / Tidal Wave
ヒューストン出身の音楽一家、ロウズ・ファミリーの四男であるロニー・ロウズ。
【今日の一枚】昨日ツイートしたヒューバート・ロウズの弟でサックス奏者のロニー・ロウズが75年にブルーノートからリリースしたアルバム。ブラックムーンやアッシャーにサンプリングされた「Tidal Wave」やインコグニートもカヴァーした「Always There」とかマジ最高。https://t.co/rg0c2D68wV
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月1日
都会の夜を彷彿させるコズミックなイントロが印象的な「Tidal Wave」。アーバン・メロウなジャズファンク の名曲。
10.Hubert Laws / Heartbeats
ロニー・ロウズの兄でロウズ・ファミリーの次男として生まれたヒューバート・ロウズ。
【今日の一枚】フルート奏者、ヒューバート・ロウズの79年作。メロウなフュージョン・ファンクのタイトル曲、極上メロウ・ グルーヴ「Heartbeats」などメロウ度数高めの心地よすぎるジャズファンク・アルバム。https://t.co/ESSQ9eSuIk
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年10月31日
タイトなグルーヴに、抑揚をおさえたフルートが心地よく鳴り響く1曲。
11.Eddie Henderson / Inside You
ニューヨーク出身のジャズ・トランペッター、エディ・ヘンダーソン。
【今日の一枚】マイルス・デイヴィスやハービー・ハンコックとも活動していたトランペット奏者、エディ・ヘンダーソンがブルーノートから76年に発表したリーダー作。ジェイZにもサンプリングされてる「Inside You」を始めメロウでスピリチュアルなサウンドが最高な一枚。https://t.co/RhGiNS21pW
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月6日
80年代ファンクの重要人物、ジェームズ・エムトゥーメの弾く覚醒作用のあるファンクベースに、ミュートを巧みに使った緊張感のあるトランペットの音色、クールなヴァイブに満ちた1曲。
12.Jimmy Ponder / Love Will Find A Way
僕自身、最近知ったアーティスト、ジミー・ポンダー。
【今日の一枚】ルー・ドナルドソンのバンドにも参加してたジャズ・ギタリスト、 ジミー・ポンダーが78年にリリースしたアルバム『All Things Beautiful』にボーナストラックを加えた編集盤。オクターブ奏法が気持ちいい黄昏系メロウなギター・サウンドが楽しめる一枚。 https://t.co/xjnKgYjvUr
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月11日
都会的というよりは、温かみのあるギターのフレーズとグルーヴィーでシンプルなバックトラックがマッチした1曲。
13.George Benson / Gonna Love You More
ジャズ・フュージョン界のスーパー・スター、ジョージ・ベンソン。
【今日の一枚】ジャズ・ギタリスト、ジョージ・ベンソンの77年リリースのアルバム。数多くのアーティストにサンプリングされてるWarの名曲など、カヴァー物がとびきり輝いてる作品で、バックを固めるメンツもハーヴェイ・メイソン他かなりヤバいクール&メロウな一枚。https://t.co/RAKXEedb8q
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年10月30日
ストリングスをフィーチャーした爽快感溢れる1曲。
14.Gary Bartz / Music Is My Sanctuary
「音楽は、僕の聖域」という素敵なタイトルのこの曲も、マイゼル・ブラザーズのプロデュース作品。
【今日の一枚】今月のプレイリストでもマイゼル・ブラザーズのプロデュース作を選んでるけど改めて彼らが手がけた作品を掘り返したくなってきた。ジャズ・サックス奏者、ゲイリー・バーツのこのアルバムはホント素晴らしい。音もジャケも、そしてタイトルも大好きな一枚。https://t.co/sZ0OFGxt1l
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年10月23日
フェードインから徐々に聴こえてくるイントロに続く女性シンガーのシリータ・ライトをフィーチャーした歌パート、そして素晴らしいサックス・ソロ。全音楽好きに聴いてほしい1曲。
15.The Crusaders / Keep Same Old Feeling
70年代ジャズ・フュージョンの人気グループ、クルセイダーズ。
【今日の一枚】昨日ツイートしたロニー・ロウズのアルバムをプロデュースしているトロンボーン奏者、ウェイン・ヘンダーソンも在籍していたクルセイダーズの70年代を代表する一枚。頭の2曲で瞬く間にその音の魅力に引き込まれてしまうジャズ・フュージョンの傑作。https://t.co/jCBPKraeP0
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年11月2日
76年にリリースされたアルバム『Those Southern Knights』からシングルカットもされたこの曲は、クルセイダーズの代表曲のひとつと言えるコーラス入りの極上メロウ・グルーヴ。
BITTER SWEET & MELLOW : Jazz Funk Classics
ということで、今回はメロウなジャズファンク・クラシックスを15曲セレクトしてみました。
どんな音楽ジャンルにもメロウな楽曲というのはあるけれど、70年代中〜後半にリリースされたジャズファンクには、メロウな曲が本当に多くて、掘れば掘るほど出てくる。
これは第2弾、第3弾と続けていきたい感じです。
ではまた。