8月も終わりに差し掛かると、毎年決まってセンチメンタルな気分になる。
過ぎゆく夏。
でもまだ終わってほしくない。
いつまでも続いてほしいと願う、太陽が燦々と輝くこの暑い季節。
Long Hot Summer…
Contents
- 過ぎゆく夏に聴きたいメロウな和モノ15曲
- 曲解説
- 1. 南佳孝 / クレッセント・ナイト
- 2. ラジ / THE TOKYO TASTE
- 3. 佐藤奈々子 / キッシング・フィッシュ
- 4. 加藤和彦 / 気分を出してもう一度
- 5. PACIFIC JAM / Feelin’ Gently
- 6. SADISTICS / WE ARE JUST TAKING OFF
- 7. Natsu Summer / ロング・ホット・サマー
- 8. 国分友里恵 / Weekend Love
- 9. 渡辺貞夫 / COOL BREEZE
- 10. 今井裕 / A SONG IN MY HEART
- 11. 坂本龍一 / PARADISE LOST
- 12. 松岡直也&ウィシング / FIESTA FIESTA
- 13. 小坂忠 / ボン・ボヤージ波止場
- 14. 吉田美奈子 / 海
- 15. CASIOPEA / Take Me
- BITTER SWEET & MELLOW : Long Hot Summer
過ぎゆく夏に聴きたいメロウな和モノ15曲
「タイムレスで、心地よいメロウな曲」を選曲して、マンスリーでお届けしているプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW」。
今月は、「Long Hot Summer」と題して、夏の終わりに聴きたくなる和モノのメロウ・グルーヴを選曲してみました。
曲解説
では、簡単に各曲を解説。
1. 南佳孝 / クレッセント・ナイト
夏の香りをイメージさせてくれるアーティストの中でも、とりわけ都会的で洗練されたサウンドが特徴のシンガー・ソングライター、南佳孝。
今日は、完全に南佳孝モード。80年リリースのこのアルバム、時代の流れからテクノポップのエッセンスが注入されてクール度が増していて、その中でも和物ラヴァーズロックの「Midnight Love Call」やトロピカル・メロウな「クレッセント・ナイト」などの名曲を多数収録。https://t.co/TXHMd3qiAW
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年7月29日
名盤・名曲が多い南佳孝作品の中から80年にリリースされたアルバム『MONTAGE』に収録されている「クレッセント・ナイト」。エレピのグルーヴが気持ちいい夏の夜長に三日月を見ながら聴きたくなる曲。
2. ラジ / THE TOKYO TASTE
70年代後半〜80年代中頃に活動していたシティポップ系シンガー、ラジ。
【今日の一枚】いつまでも色褪せない曲というのは、必ずと言っていいほどサウンドのアレンジ、メロディー、歌詞、歌う人の声質が絶妙のバランスをしている。シティポップの名盤として知られるラジのこのアルバムのに入ってる「THE TOKYO TASTE」はそんな名曲のひとつ。最高。https://t.co/ffVx3YQXYN
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月6日
77年に発表されたラジのファーストアルバム『HEART TO HEART』に収録されている南佳孝とのデュエット・チューン「THE TOKYO TASTE」。都会の蒸し暑い夜を涼しくしてくれるような”シック”な1曲。
3. 佐藤奈々子 / キッシング・フィッシュ
70年代シティポップ期を象徴する女性シンガーのひとりで、フォトグラファーとしても活動している佐藤奈々子。
【今日の一枚】夏に聴きたくなるメロウな和モノを選ぼうと思って、聴きだした佐藤奈々子の79年作「Kissing Fish」。コケティッシュな歌声と豪華な制作陣によるオリエンタルでトロピカルでアーバンなサウンド。彼女の作品は他も素晴らしいけど、これが一番夏にフィットする。https://t.co/fbG2xjNIFO
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年7月31日
4枚目となるアルバム『Kissing Fish』のタイトル・チューンであるこの曲。「ホテルのプールサイドでラム・コーク飲みながら〜」という冒頭のリリックからアーバン・リゾートへ誘われるような作品。
4. 加藤和彦 / 気分を出してもう一度
前回のプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW : Island Vibrations」やアナログレコードのみを使ったミックス「TROPICAL RENDEZVOUS」でも1曲選んでるけど、夏に聴きたい和モノの選曲をするならこの人の曲はやはり外せない。
【今日の一枚】78年にリリースされた加藤和彦の4作目となるソロアルバム。その後に発表されるヨーロッパ三部作のモダンで洒落たサウンドアプローチはすでにここから始まっていたのだと改めて痛感するほど素晴らしい内容。和物フリーソウルの原点のような作品だな、これは。https://t.co/CNzdcURAZE
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月19日
70年代後半から80年代にかけて、その後シティポップと呼ばれたり渋谷系とかフリーソウルというカテゴリーにまで繋がる時代の先を行く洒落ててクォリティーの高いサウンドを日本の音楽シーンの中でいち早く取り入れてきたキーパーソンと言えるアーティスト/作曲家/プロデューサーだったのが、加藤和彦という人なのだと最近つくづく感じる。
3曲目の佐藤奈々子「キッシング・フィッシュ」も彼の作曲によるものだし、この「気分を出してもう一度」も2曲目のラジに提供した曲で、アルバム『HEART TO HEART』に収録されていて、それを自身のアルバム『ガーディニア』でボサノヴァ風アレンジでセルフリメイクしたのがこの曲。
5. PACIFIC JAM / Feelin’ Gently
日本を代表するラテン・フュージョン界の第一人者でピアニストの松岡直也。
【今日の一枚】昨日ツイートした松岡直也とサックス奏者、土岐英史によるプロジェクト、PACIFIC JAMのアルバム。US西海岸のミュージシャン勢
が参加してて演奏もタイトで素晴らしく、そして音がいい。和ブラジリアン・フュージョンの傑作。最高。https://t.co/P1uMdKRGGX— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月11日
女性シンガーの土岐麻子の父であり、ジャズサックス奏者の土岐英史が組んだプロジェクト、PACIFIC JAMが81年にリリースした唯一のアルバム『PACIFIC JAM』に収録されている「Feelin’ Gently」。透明感のあるサックスに、爽快なリズム、どこまでも続く青い空と海が見えてきそうなトロピカルブギー風な1曲。
6. SADISTICS / WE ARE JUST TAKING OFF
加藤和彦がリーダーを務めた日本の音楽史に残るロックバンド、サディスティックミカバンドの解散後、そのメンバーだった高橋幸宏、高中正義、後藤次利、今井裕という4人のプレイヤーが結成したグループ、サディスティックス。このメンツ、今考えたらとんでもないスーパー・グループ。
【今日の一枚】音楽をディグってて楽しいのは、その時の気分とか嗜好、感覚と合致したような作品に出会った瞬間。何故かスルーしてしまっていたサディステックスのこのアルバムはそんな一枚。程よい夏感の爽やかでメロウなフュージョン・サウンドがとても今っぽく感じる。https://t.co/kpTxwVc1eu
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月7日
サディスティックミカバンド、加藤和彦(このメンバーで言えば高橋幸宏も)はよく聴いたもののサディスティックスは意外とスルーしてしまっていたグループ。それが今聴くとジャストミートと言える気持ちよさ。
ちなみに2曲目に選んだラジのアルバム『HEART TO HEART』は、高橋幸宏と後藤次利のプロデュースで、「THE TOKYO TASTE」はサディスティックスのファーストアルバム『Sadistics』にもラジをフィーチャーした別ヴァージョンが収録されてる。
7. Natsu Summer / ロング・ホット・サマー
今回のプレイリストで、唯一チョイスした最近の楽曲。
【今日の一枚】スチールパンの音色が心地いいナツサマーのEP。どこか懐かしさを感じさせるシティポップ的な歌詞とメロディー、キュートな歌声、涼しげでメロウなレゲエ・サウンド、それらが絶妙に調和していて、まるでよく冷えた爽やかでおいしいカクテルのような一枚。https://t.co/rZMPcIvF7m
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年7月17日
シティポップ・レゲエシンガー、Natsu Summerが2018年7月にリリースした7曲入りEP『Natsu Summer & Dub Sensation』に収録されている「ロング・ホット・サマー」。ジャマイカのレジェンダリー・シンガー、デニス・ブラウンの名曲ラヴァーズ・ロック「Love Has Found Its Way」を彷彿させるメロウ&グルーヴィーな1曲。
8. 国分友里恵 / Weekend Love
山下達郎のツアーメンバーとしても知られる国分友里恵の83年にリリースされたデビューアルバム『Relief 72 hours』は、シティポップの名盤としても名高い作品。
そのアルバムに収録されている「Weekend Love」は、ハワイアン・コンテンポラリー風の気持ちいいミディアム・テンポのグルーヴに爽快なメロディー&コーラスが素敵なサマー・チューン。
9. 渡辺貞夫 / COOL BREEZE
「ナベサダ」の愛称で知られる日本を代表するジャズ・フュージョン界の大御所サックス奏者、渡辺貞夫。
【今日の一枚】新旧問わず、今が旬と思える音楽を普段から聴いてるのだけれど、渡辺貞夫の80年代ものもそんな作品のひとつ。85年発売のこの「マイシャ」や「ランデブー」「グッド・タイム・フォー・ラヴ」あたりは、今聴くのにちょうど良い季節感とメロウ感のあるサウンド。https://t.co/IL3mMc9o5g
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月1日
いい意味での軽さのあるマイルドなサウンドが意外と今の時代とマッチしてるように感じるのは僕だけかもしれないけど、渡辺貞夫の80年代の作品にはそれをすごく感じる。84年にリリースされたアルバム『ランデブー』に収録されている「COOL BREEZE」もそんな1曲。
10. 今井裕 / A SONG IN MY HEART
バンドに属しているアーティストの作るソロ・アルバムというのは、いろんな意味で肩に力が入っていない感じだったり、趣味的な部分が強調されていたり、洒脱した面白い作品が多かったりする。
【今日の一枚】サディスティックスのメンバー、今井裕の77年発表のソロ作。 オリジナル・サヴァンナ・バンド風トロピカルなタイトル曲やエキゾチックテイストの「A SONG IN MY HEART」など、クールでブリージンなサウンドが心地よすぎる一枚。https://t.co/w7cm6pNSYd
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月8日
サディスティックスとはまた一味違うトロピカルなテイストを追求したような今井裕のソロ・アルバム『A COOL EVENING』。気持ちよさという意味ではサディスティックス以上とも思えるこの作品に収録されてる「A SONG IN MY HEART」は、カリブかハワイのビーチ近くにあるコテージで海とヤシの木をぼんやりと眺めながらチルしてるような、そんな夢見心地にさせてくれるサマー・ブリージンな1曲。
11. 坂本龍一 / PARADISE LOST
今回のプレイリストで選んだ曲のいくつかもそうだけど、70年代後半〜80年代前半にリリースされた良質なシティポップ系の作品に坂本龍一は、キーボード奏者/アレンジャーとしてかなりの作品に参加している影の立役者的な存在。
【今日の一枚】教授こと坂本龍一の4作目のソロ「音楽図鑑」の2015年エディションなんてのが出てたとは!10数曲に及ぶ未発表曲と別ヴァージョンを収録。それにしても「TIBETAN DANCE」「ETUDE」「PARADISE LOST」、、、今聴いてもカッコいい。https://t.co/Jywfi5eX5f
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年7月30日
レゲエのリズムを取り入れつつ、オリエンタルなサウンドに仕上げられた「Paradise Lost」。坂本龍一版エキゾチックミュージックという趣のチルな1曲。
12. 松岡直也&ウィシング / FIESTA FIESTA
5曲目に選んだ松岡直也のグループ、松岡直也&ウィシング。
【今日の一枚】ラテン・ジャズ界の大御所、松岡直也の70年代後半〜80年代前半あたりのクロスオーバーしたサウンドも今が旬な音だと思う。個人的に一押しなのはアルバムタイトル曲。レゲエっぽいビートにラテンパーカッションが絡む楽園に誘ってくれるようなチルな1曲。https://t.co/OIT98hIO4g
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月10日
この「Fiesta Fiesta」も坂本龍一の曲と同じく、レゲエをベースとしながらもその範疇には収まらない汎カリビアン・サウンドに仕立てられたサマー・チル・チューン。
13. 小坂忠 / ボン・ボヤージ波止場
一時は現役を引退したこともある渋みのあるシンガーソングライター、小坂忠。
【今日の一枚】ジャパニーズ・レアグルーヴの歴史的名盤、小坂忠の「ほうろう」は、夏の夜長に聴きたい一枚。いなたさと洗練。この二つのアンビバレントなサウンドが絶妙に融合してるのがとても日本的で、それがまた良い。プロデューサー、細野晴臣の手腕も流石。https://t.co/FjiZs2wMlh
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月20日
その名盤『ほうろう』に収録されてる「ボン・ボヤージ波止場」。波の音から始まり、漂うように流れるエレピ、ムーディーなベースライン。これぞメロウ・フローターと言える1曲。
14. 吉田美奈子 / 海
70年代〜80年代の日本の音楽シーンの中で、異彩を放ってきた女性アーティスト、吉田美奈子。
【今日の一枚】吉田美奈子の作品には素晴らしい作品が多いけど、今の気分で選びたいのはこのライブ盤。どの曲もオリジナルとは異なるアレンジになってて、更に観客の拍手も省かれているというストイックな作品。特にメディアムメロウ&エモーショナルな「海」がお気に入り。https://t.co/9rCQx4QZ4s
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) 2018年8月13日
78年発表の『愛は思うまま LET’S DO IT』に収録されてるディスコ風の「海」を、ここではメロウでタイトなファンク・サウンドに誂え直し、エモーショナルに歌い上げるヴォーカル。どこを取っても素晴らしい。
15. CASIOPEA / Take Me
日本の伝説的フュージョン・バンド、カシオペアのこの曲「Take Me」も実はライブ音源。
ヨーロッパ向けの作品として82年にリリースされた7枚目の作品である『Mint Jams』は、ライブ盤でありながらその名の通り極上の(ミント・コンディション)演奏を堪能できる素晴らしい内容のアルバム。
BITTER SWEET & MELLOW : Long Hot Summer
夏の終わりに聴きたくなる和モノのメロウ・グルーヴを70年代後半〜80年代前半のシティポップ、フュージョンを中心にセレクトしてみました。
来月もまた「タイムレスで、心地よいメロウな曲」を紹介したいと思います。
ではまた。
和モノ A to Z Japanese Groove Disc Guide