まるでアスリートの肉体のように、無駄な贅肉がそぎ落とされたソリッドなサウンド。
タイトにうねるヘヴィなドラム&ベース。
そしてその上で、こだまのように反復する単音の調べ。
コンクリートジャングルに似合う都市的なクールネスと、どこか牧歌的な暖かみ。そんな二つの相反する感覚を兼ね備えたイマジネーションを刺激する音楽。
ダブミュージック。
Contents
- クールでメロウな和物ダブ15曲
- 曲解説
- 1. DMX & ピアニカ前田 / Tokyo Duv Story
- 2. Luv Master X / むかえにきてね(みんなのDUB)
- 3. Little Tempo / スカイハイ
- 4. こだま和文 / La Birds Rock “遠雷”
- 5. Kodama & Gota / Twilight
- 6. Mute Beat / Still Echo
- 7. Kodama & The Dub Station Band / Straight To Dub
- 8. Silent Poets / simply Flower’s Dub
- 9. Dry & Heavy / Landing
- 10. bird / 桜 (Mad Professor’s Lovers Rock Dub)
- 11. 中島美嘉 / 接吻 (Dennis Bovell Lovers Dub #2)
- 12. 西内徹バンド / Jealous Guy
- 13. VIDEOTAPEMUSIC / Sultry Night Dub
- 14. Hiroshi Fujiwara / Natural Born Dub
- 15. 加藤和彦 / Around The World (Dub Version)
- BITTER SWEET & MELLOW : Still Echo
クールでメロウな和物ダブ15曲
「タイムレスで、心地よいメロウな曲」を選曲しお届けしているプレイリスト「BITTER SWEET & MELLOW」。
今回は、ジャマイカで生まれた革新的な音楽技法、ダブを取り入れた和物レゲエの曲をセレクトしてみました。
このプレイリストを作るきっかけとなったのは、こだま和文率いるKODAMA AND THE DUB STATION BANDのアルバムを聞いたから。
元ミュート・ビートのこだま和文率いるKODAMA AND THE DUB STATION BAND、初のオリジナル・アルバム。とても素敵な作品だぁ。いい意味で時代を超越してる。80年代を知ってる人ならこの意味が分かると思うし、知らなくてもピュアな音楽性を感じられる素晴らしい作品。https://t.co/GDfhxgK99z
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) January 12, 2020
KODAMA AND THE DUB STATION BANDのアルバムを聴き込んでたら無性にダブが聴きたくなってきた。しかも和物ダブ。ならば日本初のダブ・バンド、MUTE BEATからおさらいしていこう。記念すべき1stアルバムという意味でも思い入れの深い1枚。https://t.co/tWZLzWebJy
— KENNET@DAILY STANDARD (@kennet_64) January 13, 2020
日本には、80年代から現在までダブに影響を受けた素晴らしいアーティスト(バンド)がたくさんいます。そんな中から寒い冬にもぴったりくるようなクールでメロウな和物ダブ15曲を選曲してみました。
それが、この『BITTER SWEET & MELLOW : Still Echo』。
曲解説
では、曲ごとに簡単な解説を。
1. DMX & ピアニカ前田 / Tokyo Duv Story
日本初のダブバンドであるMUTE BEATのメンバーでもあったダブ・エンジニア、Dub Master Xとピアニカ奏者、ピアニカ前田による1995年発売のマキシ・シングル『Tokyo Luv Story』(ヴォーカルにはタレントのYouをフィーチャー)のインスト・ヴァージョン。
ヴォーカル・ヴァージョンの「東京狼少女~Tokyo Luv Story」は、Videotapemusicにカヴァーされてて2015年にリリースされたセカンド・アルバム『世界各国の夜』に収録されてます。
2. Luv Master X / むかえにきてね(みんなのDUB)
藤原ヒロシとDub Master Xによるユニット、Luv Master Xが1993年に発表したアルバム『LMX#1』に収録されている(1曲目と同様こちらも)Youをフィーチャーしたジャパニーズ・ラヴァーズロック・クラシックス「むかえにきてね」のダブ・ヴァージョン。
3. Little Tempo / スカイハイ
日本が世界に誇るトロピカルDUBバンド、Little Tempoが結成15周年を迎えた2008年に自らのレーベル、Sunshine Recordsからリリースしたアルバム『山と海』に収録されている1曲「スカイハイ」。
オルガン/シンセとスライドギターのアンサンブルが、ゆったりほっこりさせてくれるグルーヴィなチューン。
4. こだま和文 / La Birds Rock “遠雷”
MUTE BEATのリーダーだったこだま和文が、Kodama (Echo) from Dub Station名義で2003年にリリースしたアルバム『A Silent Prayer』の1曲目に収録されている「La Birds Rock “遠雷”」。
孤高に響くトランペットの音色、メロディーが切なくも美しい。
5. Kodama & Gota / Twilight
Mute Beatのオリジナル・メンバーだったドラマー/プロデューサーの屋敷豪太とこだま和文が、Kodama&Gotaとしてユニットを結成し、10年ぶりに一緒にスタジオ入りして1996年に発表したアルバム『Something』のリリースを記念して行われたツアーの大阪公演の模様を収録したライブ盤『Kodama & Gota Live』。
「Twilight」は、『Something』にも収録されている屋敷豪太作曲のメロウなレゲエ・インスト。
6. Mute Beat / Still Echo
日本のダブ・シーンの礎を築いた伝説的ダブ・バンド、Mute Beatの初期12インチ・シングル三部作をまとめた作品『Still Echo』。1987年リリース。
数あるMute Beatの名曲/名演の中から、あえて1曲を選ぶとしたらこの作品のタイトルにもなっている「Still Echo」でしょう。この曲の持つクールネスは、80年代の東京からでしか生まれ得なかったものだと僕は勝手に思っています。
7. Kodama & The Dub Station Band / Straight To Dub
2019年にリリースされたこだま和文率いるKodama & The Dub Station Bandが初のオリジナル・フルアルバム『かすかな きぼう』に収録されている「Straight To Dub」。
ジャジーで、ヘヴィなダブ。時代を超越したような1曲。
8. Silent Poets / simply Flower’s Dub
かつてはLittle Tempoのメンバーも在籍していたユニットで、現在はDJ/デザイナーの下田法晴によるソロ・プロジェクトとなっているSilent Poetsの1992年リリースの1stミニ・アルバム『6 pieces “sense at this moment”』に収録されている「simply Flower’s Dub」。
アンビエントなインスト・ダブ・チューン。
9. Dry & Heavy / Landing
七尾”Dry”茂大(ドラム)と秋本”Heavy”武士(ベース)を中心に結成されたレゲエ~ダブバンド、Dry & Heavyの2000年リリースのサード・アルバム『Full Contact』。
「Landing」は、名盤と言われるこのアルバムの最後に収録されている哀愁感漂うインスト・ナンバー。
10. bird / 桜 (Mad Professor’s Lovers Rock Dub)
ソウルフルな歌声が魅力のシンガー・ソングライター、birdの2000年にリリースされたアルバム『MINDTRAVEL』に収録されている「桜」のシングルに収録されているダブ・ヴァージョン。
手がけているのは、UKラヴァーズ・レゲエの巨匠、Mad Professor。ソフィスティケートされたダブ・サウンドがなんとも心地いい。
11. 中島美嘉 / 接吻 (Dennis Bovell Lovers Dub #2)
これぞ、ジャパニーズ・ラヴァーズロック・クラシックスと呼ぶに相応しい名曲、中島美嘉によるオリジナルラブ「接吻」のカヴァーのダブ・ヴァージョン。
ミックスしているのは、UKレゲエのレジェンダリーなプロデューサー/エンジニア、Dennis Bovell。この浮遊感がたまりません。
12. 西内徹バンド / Jealous Guy
Reggae Disco Rockers、Cool Wise Manなどレゲエ・フィールドを中心にジャンルを超えてさまざまなライブ、レコーディング・セッションに参加しているサックス&フルート奏者、西内徹の初ソロ・アルバムに収録されているJohn Lennonの名曲カヴァー「Jealous Guy」。
サックスとスチールパンが絡むほっこりしたロックスステディー・サウンド。ナイスです。
13. VIDEOTAPEMUSIC / Sultry Night Dub
2016年にリリースされたVideotapemusicのシングル『Sultry Night Slow』のカップリングとして収録されている同曲のダブ・ヴァージョン「Sultry Night Dub」。
緩やかなピアニカのフレーズが漂うように流れる浮遊感たっぷりな1曲。
14. Hiroshi Fujiwara / Natural Born Dub
1995年にリリースされた藤原ヒロシのミニ・アルバム『HIROSHI FUJIWARA IN DUB CONFERENCE』から12インチ・レコードでシングル・カットされた曲。
バッハの「ゴールドベルク変奏曲」をモチーフにしたアンビエントなダブ・ブレイクビーツ作品。
15. 加藤和彦 / Around The World (Dub Version)
加藤和彦のバハマとマイアミでレコーディングされたトロピカルフレイヴァー溢れる傑作アルバム『Papa Hemingway』に収録されている「Around The World」のダブ・ヴァージョン。
1979年、まだ日本でダブ・ヴァージョンなんて作るアーティストがほとんどいなかった時代。この作品は和物ダブの初期的1曲だと思います。
BITTER SWEET & MELLOW : Still Echo
ということで今回は、クールでメロウな和物ダブ15曲を選曲してみました。
またいつものように、Apple Musicに加入していない方々のためにYoutubeのミックスリストを作ろうと思ったのですが、和物は権利の関係でYoutubeに公開されていないものもあるので、今回のプレイリストに選んだ曲がない場合には、ライブヴァージョンやオリジナルミックス(ダブヴァージョンではなく)、その曲が収録されているアルバムの別の曲やダイジェストなどセレクトしています。
よかったらそちらもチェックしてみてください。